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悪性リンパ腫ステージ4の余命とは?治療法や転移について解説
悪性リンパ腫ステージ4は、がんがリンパ節にとどまらず、骨髄や肝臓、肺などの遠隔臓器にも広がった最も進行した状態を指します。
この段階では治療が複雑であり、患者さまやその家族にとって大きな不安が伴うことが少なくありません。
しかし、ステージ4でも治療の選択肢は多様で、適切な治療を行うことで症状の緩和や延命が期待できます。
今回の記事では、悪性リンパ腫ステージ4における余命に関する情報や治療法の選択肢、転移の特徴について詳しく解説します。
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INDEX
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫は、リンパ系の細胞ががん化して増殖する血液のがんの一種です。
リンパ系は免疫機能を担う重要な役割を持ち、リンパ節、脾臓、骨髄などに広がっています。
悪性リンパ腫は大きく「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」の2つに分類されます。
ホジキンリンパ腫は日本人には稀で、リード・シュテルンベルク細胞という特徴的な細胞がみられ、主に連続したリンパ節に広がります。
一方、非ホジキンリンパ腫は日本人の悪性リンパ腫のうち90%以上を占め多様な種類があり、その進行や症状はケースによって異なります。
ここでは、悪性リンパ腫の初期症状や原因、検査方法について詳しく説明します。
悪性リンパ腫の初期症状
悪性リンパ腫の初期症状は、風邪やインフルエンザの症状と似ているため見逃されがちです。
最も一般的な症状は、首、脇の下、鼠径部などのリンパ節の腫れで、痛みを伴わないことが多く、感染症の兆候とは異なるため注意が必要です。
また、発熱、寝汗、体重減少などの全身症状が現れることがあり、専門的に「B症状」と呼ばれています。
これらは体内でがんが進行しているサインであり、特に夜間の寝汗や原因不明の体重減少が特徴です。
さらに、倦怠感や疲労感が強まり、日常生活に支障を来すこともあります。
悪性リンパ腫の原因
悪性リンパ腫の原因は明確には解明されていませんが、いくつかの要因が組み合わさって発症リスクを高めると考えられています。
1.免疫システムの異常や低下
免疫システムの異常や低下がリスク要因とされ、自己免疫疾患や免疫抑制療法を受けている人は、悪性リンパ腫のリスクが高まる可能性があります。
また、ウイルス感染も関与しており、特にエプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)やヒト免疫不全ウイルス(HIV)が関連するケースが報告されています。
2.細菌感染や化学物質への長期的曝露
ピロリ菌などの細菌感染や特定の化学物質への長期的な曝露もリスクを高める要因と考えられています。
遺伝的要因も無視できず、家族に悪性リンパ腫の患者さまがいる場合、リスクがやや高くなることが示唆されています。
これらのリスク要因が単独で悪性リンパ腫を引き起こすわけではなく、複数の要因が組み合わさることで発症に至ることが多いとされています。
悪性リンパ腫の検査方法
悪性リンパ腫の検査には、さまざまなアプローチが取られます。
以下の検査結果を総合的に評価して、悪性リンパ腫のタイプや進行度(ステージ)を診断し、最適な治療方針を決定します。
- リンパ節の腫れや症状が疑われる場合、まず血液検査を行い、白血球数やリンパ球の異常を確認します。
- 血液検査だけでは確定診断が難しいため、リンパ節生検が重要な検査となります。
- 生検では、腫れているリンパ節の一部または全体を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無や特徴を調べます。
- がんの広がりを評価するために画像検査も行われます。
- CT(コンピュータ断層撮影)やPET(陽電子放射断層撮影)スキャンを用いて、がんが他の臓器やリンパ節に広がっているかを確認します。
- 骨髄への浸潤を調べるために骨髄検査を行います。
悪性リンパ腫のステージごと症状
悪性リンパ腫は、がんの進行度によってステージが分類され、それぞれのステージで異なる症状が現れます。
ステージは0期からⅣ期まであり、がんの広がり具合や転移の有無によって区別されます。
早期の段階では症状が軽微で見逃されやすいですが、進行するにつれて症状が重くなり、全身症状が現れることもあります。
ステージ0の症状
ステージ0およびステージ1の悪性リンパ腫では、がんが限られた範囲にとどまっているため、症状は軽微であることが多いです。
ステージ0(「上皮内がん」とも呼ばれる)では、がん細胞がリンパ組織の内側にとどまり、進行していません。
この段階では自覚症状がほとんどなく、定期的な健康診断や偶然の検査で発見されることが多いです。
ステージ1の症状
ステージ1では、がんが1つのリンパ節群または1つの臓器に限定されています。
最も一般的な症状は、リンパ節の腫れです。首、脇の下、鼠径部にしこりが感じられることがありますが、痛みがないため見逃されやすいという特徴があります。
また、軽い倦怠感や発熱、寝汗といった軽度の全身症状が現れることもありますが、日常生活に大きな支障を来すことは少ないです。
ステージ2の症状
ステージ2の悪性リンパ腫では、がんが2つ以上のリンパ節群に広がっており、横隔膜の同じ側に位置しています。
リンパ節以外の1つの臓器に浸潤している場合もあります。
首、脇の下、鼠径部などで複数のしこりが感じられ、腫れが進行するにつれて大きくなることがあります。この状態でも、通常、しこりは痛みを伴いません。
また、B症状と呼ばれる発熱、寝汗、体重減少といった症状が見られることがあり、特に夜間の寝汗や原因不明の体重減少が特徴的です。
倦怠感や疲労感が増してくるため、日常生活に支障を来すことがでてきます。
これらの症状は、がんがリンパ系を通じて広がり始めていることを示しています。
ステージ3の症状
ステージ3では、がんが横隔膜の両側に広がり、複数のリンパ節群やリンパ系以外の臓器にも浸潤しています。
リンパ節の腫れは広範囲に及び、首、脇の下、鼠径部など複数の部位でしこりが感じられるのが一般的です。
この状態になると、腫れが進行し痛みを伴う場合もあります。
B症状と呼ばれる発熱、寝汗、体重減少といった症状はより顕著になり特に、夜間に大量の寝汗をかいたり、原因不明の高熱が続いたりすることがあります。
倦怠感や極度の疲労感も強まり、日常生活に大きな影響を及ぼします。
さらに、がんが腹部や胸部のリンパ節に広がると、腹痛や呼吸困難が生じることもあります。
ステージ4の症状
ステージ4では、がんがリンパ系を超えて骨髄、肝臓、肺、脳などの遠隔臓器に広がっている状態です。
B症状はより深刻になり、激しい倦怠感、極度の体重減少、持続的な高熱、夜間の大量の寝汗が顕著に現れます。
これらの症状は、がんの進行に伴って悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼします。
転移した部位によっては特有の症状も現れます。例えば、骨髄への浸潤によって貧血や出血傾向、感染症にかかりやすくなることがあります。
肝臓に転移した場合は黄疸や腹部の不快感、腫れが見られ、肺への転移では呼吸困難や胸部の痛みが生じることがあります。
ステージ4は進行がんであり、積極的な治療と緩和ケアが不可欠です。
悪性リンパ腫ステージ4の余命
悪性リンパ腫ステージ4における余命については、5年生存率を用いて解説します。
同じ悪性リンパ腫のステージ4であったとしても、悪性リンパ腫の種類により5年生存率には違いがあります。
本記事の前半でお伝えした通り、悪性リンパ腫にはホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類があります。
そして、それぞれのステージ4における5年生存率は、ホジキンリンパ腫の場合は44.7%。非ホジキンリンパ腫の場合は54.6%です。
これはステージ4がん全体の5年生存率約16%と比較するとかなり高い数値です。つまり、ステージ4の悪性リンパ腫であったとしても諦める必要はなく、適切な治療により延命や症状改善などの回復の可能性があるということです。
ステージ4では、リンパ腫が他の臓器にも転移していることが多く、治療の効果や進行の速さによって予後が変わります。
例えば、化学療法や放射線療法のほか、最近では免疫療法や造血幹細胞移植など、複数の治療法が併用されることがあります。
これらの治療により、症状を緩和しながら生活の質を向上させることで、余命の延長につながる可能性があります。
早期からの積極的な治療と緩和ケアの導入が重要です。
(参考:がん治療.com|悪性リンパ腫)
悪性リンパ腫の治療法
悪性リンパ腫の治療法は、がんの種類、進行度(ステージ)、患者さまの全身状態によって異なります。
主な治療には、薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植、手術などがあり、これらを組み合わせて行うことが一般的です。
治療の目的は、がん細胞を完全に消滅させることを目指す根治的治療や、進行がんの場合は症状を緩和して生活の質を向上させることです。
以下に、それぞれの治療法の特徴と適応について詳しく説明します。
薬物療法
悪性リンパ腫の薬物療法は、がん細胞の増殖を抑えるために主に化学療法が用いられます。
一般的には、複数の抗がん剤を組み合わせる「多剤併用療法」が行われ、「CHOP療法」(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの併用)や、CHOP療法に抗体薬を追加した「R-CHOP療法」が代表的です。
これらの治療法は、高悪性度リンパ腫にも効果的で、標準治療として広く実施されています。
また、近年では分子標的薬の導入も進んでおり、リツキシマブなどの抗CD20抗体薬がB細胞性リンパ腫に対して効果を示しています。
これにより、がん細胞を特異的に(狙って)攻撃する治療が可能となり、従来の化学療法と併用することで治療効果を高めることが期待されています。
薬物療法は患者さまの病状や体調に応じて調整され、副作用の管理が重要です。
適切な薬剤の選択と治療計画によって、治療効果の最大化が目指されます。
放射線療法
悪性リンパ腫での放射線療法は、高エネルギーの放射線を使用してがん細胞を破壊する治療法で、病状や治療目的に応じて柔軟に使用されます。
特に限局した病変やリンパ節の治療に有効で、初期のホジキンリンパ腫などでは根治的な治療法として用いられることが多いです。
放射線療法の効果としては、がん細胞の増殖を抑えるだけでなく、腫瘍による痛みや圧迫症状の緩和にも用いられます。
外部から放射線を照射する「外部放射線治療」が一般的で、がんの位置や広がりに応じて精密に調整されます。
化学療法と併用して治療効果を高めることもあり、進行した悪性リンパ腫では併用療法が推奨される場合があります。
副作用としては、照射部位に応じた皮膚の炎症や倦怠感が生じることがありますが、これらは一時的なものであり、適切に管理されます。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、高用量の化学療法や放射線療法の後に、患者さまの血液や骨髄に健康な造血幹細胞を移植して、骨髄の造血機能を回復させる治療法です。
移植には、自分の造血幹細胞を用いる「自家移植」と、ドナーからの造血幹細胞を使用する「同種移植」の2種類があります。
「自家移植」は再発リスクの高いリンパ腫や治療抵抗性の症例に対して行われることが多く、「同種移植」はより進行した病状に適用されることが一般的です。
同種移植では、移植されたドナーの免疫細胞ががん細胞を攻撃する「移植片対腫瘍効果」が期待されますが、拒絶反応(GVHD)などのリスクも伴います。
造血幹細胞移植は高度な治療であり、副作用や合併症のリスク管理が重要ですが、適切な患者さまに対しては長期生存が期待できる有力な治療法です。
手術療法
通常、悪性リンパ腫の治療は化学療法や放射線療法が主流であり、手術は特定の状況で補助的に行われます。
たとえば、腫瘍が限られたリンパ節にとどまっている場合や、診断目的でリンパ節を生検する際に使用されます。
リンパ節の腫れが周囲の臓器や血管を圧迫して症状を引き起こす場合には、症状緩和を目的とした手術が行われることもあります。
また、脾臓に悪性リンパ腫が発生した場合には、脾臓摘出術が検討されることがあります。
この手術により、血液中の異常細胞の増殖を抑える効果が期待できますが、免疫機能に影響を与えるため慎重な検討が必要です。
ステージ4の悪性リンパ腫では免疫療法も選択肢の一つ
ステージ4の悪性リンパ腫では、免疫療法が有力な治療の選択肢の一つとして注目されています。
特に、患者さま自身の免疫力を活性化してがん細胞を攻撃する治療法として、CAR-T療法(がん免疫遺伝子治療)が期待されています。
CAR-T療法は、患者さまから採取したT細胞に遺伝子操作を施し、がん細胞を認識するキメラ抗原受容体(CAR)を導入する方法です。
改変されたT細胞を体内に戻すことで、がん細胞を特異的に攻撃する仕組みです。
この治療法は、進行したリンパ腫にも効果を示すことがあり、再発や治療抵抗性のある患者さまに新たな治療の選択肢を提供します。
免疫療法は、従来の化学療法や放射線療法と併用することで、がん治療の相乗効果を目指す新しいアプローチです。
特に、体への負担が比較的少なく、副作用の管理がしやすい点が大きなメリットです。
悪性リンパ腫の転移について
悪性リンパ腫はリンパ系に発生するがんであり、進行するとリンパ節から他の部位に転移する可能性があります。
転移先に応じて症状が異なるため、それぞれに適した治療が必要です。
ここでは、悪性リンパ腫が転移しやすい場所と、転移した場合の症状について説明します。
悪性リンパ腫が転移しやすい場所
悪性リンパ腫はリンパ系を中心に進行しますが、がんが進行すると、骨髄、肝臓、脾臓、肺、脳などのさまざまな臓器に転移する可能性があります。
特に骨髄への転移は、貧血や出血しやすくなることに加え、感染症のリスクが高まり、全身症状が悪化することが多いです。
肝臓に転移すると、黄疸や肝機能の低下、さらには腹水の増加が見られるようになります。
脾臓もリンパ系の一部であるため、転移により腫大し、体に圧迫感や不調を引き起こすことがあります。
肺への転移では呼吸困難や胸部の痛みが現れることが多く、脳への転移が進むと神経症状や意識障害が見られるようになります。
これらの転移先に応じて症状が異なるため、早期発見と適切な治療が重要です。
転移した場合の症状
転移した部位によって現れる症状はさまざまです。
骨に転移した場合には、背中や腰、胸部などの骨に痛みが生じ、骨折のリスクも高まる可能性があります。
脳に転移した場合には、頭痛、吐き気、嘔吐、視力障害、麻痺、けいれんなどの神経症状が見られることがあります。
これらは腫瘍が脳を圧迫したり、脳内で出血を引き起こしたりすることが原因です。
肝臓に転移した場合には、黄疸や腹部の不快感、右上腹部の痛みが伴い、食欲不振や体重減少も見られることが一般的です。
副腎へ転移した場合には、初期段階では症状が現れにくいですが、進行するとホルモン分泌の異常や痛みが出ることがあります。
転移が進むと全身の倦怠感や極度の疲労感が増し、日常生活に大きな支障を来すことが多くなります。
悪性リンパ腫の再発と予後/生活の質(QOL)
悪性リンパ腫の再発は治療後の大きな課題であり、特に高悪性度のリンパ腫では再発のリスクが高くなります。
再発が起こると、治療が難しくなることが多いため、早期の発見と適切な治療が重要です。
再発時には、再度の化学療法や造血幹細胞移植、免疫療法などが検討されることがあります。
特に免疫療法は、副作用が比較的少なく、患者さまの生活の質(QOL)を保ちながら治療を進める方法として注目されています。
予後は、再発のタイミングや治療への反応によって大きく左右されます。
再発が早期に起こった場合や複数回再発した場合、予後が厳しくなる傾向がありますが、治療によって長期生存が可能なケースもあります。
QOLの維持は、治療方針を決定する際の重要な要素であり、痛みの管理や精神的なサポートも欠かせません。
患者さまがより良い生活を送るためには、治療と生活支援を組み合わせた包括的なアプローチが求められます。
まとめ
悪性リンパ腫のステージ4は、がんがリンパ節にとどまらず、骨髄や肝臓、肺などの遠隔臓器にも広がった進行がんです。
この段階では治療が難しく、予後にも影響を与えることがあります。
しかし、近年の治療法の進歩により、さまざまな選択肢が提供されています。
薬物療法、放射線療法、造血幹細胞移植、手術療法など、症状に合わせた最適な治療法を検討してみましょう。
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