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前立腺がんは進行が早い? 進行スピードや5年生存率、治療法について解説

がんは発生部位やステージによって、進行スピードもさまざまです。「前立腺がんは進行が早い」というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。

今回は前立腺がんになり、進行が早いのではと心配しているご家族や当事者の方たちに向けて、情報をまとめました。進行スピードや5年生存率、治療法について解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。

前立腺がんとは?


まず、前立腺がんとはどのような病気か概要を紹介します。

前立腺がんは、50歳以上の方がなりやすい疾患として知られています。男性特有のがんであり、食生活の欧米化により、罹患率が増加傾向にあります。

前立腺がんの症状

前立腺がんは初期段階では、自覚症状がないケースが多いです。

ただし尿が出にくい、排尿の回数が多いなどの症状が出ることもあります。前立腺がんが進行すると、排尿の症状に加えて、血尿、腰痛(骨への転移によるもの)などが生じることがあります。

前立腺がんの進行スピード


次に、前立腺がんの進行スピードを解説します。

前立腺がんは、進行が早いケースもあるが、ゆっくり進行するケースの方が多いです。進行状況は、がんの種類や段階、健康状態も影響し、早期に発見すれば治癒することが可能です。また、症状がなく、治療を受けなくても余命に影響しないものもあります。

病気と向き合うには、自分の疾患のタイプを知ることが大切です。

前立腺がんのステージ


続いては、前立腺がんのステージを解説します。

前立腺がんのステージ(病期)は、主に以下の4つのステージに分類されます。

Ⅰ期(ステージ1):触診や画像検査で異常が見つからないもの、または異常が見つかるが前立腺内の左右どちらか2分の1以内にとどまっている

Ⅱ期(ステージ2):触診や画像診断で見つかった異常は前立腺内にとどまっており、左右どちらか2分の1を超えている、または左右どちらにも広がっている

Ⅲ期(ステージ3):がんの腫瘍が前立腺被膜を超えて広がっている

Ⅳ期(ステージ4):がんが隣接する臓器に広がり、他の臓器やリンパ節、骨への転移がある

TNM分類に基づいてステージが判断されます。

T:がんが前立腺の中にとどまっているか、周辺の組織・臓器にまで及んでいるか

N:前立腺からのリンパ液が流れている近くのリンパ節(所属リンパ節)へ転移しているか

M:離れた臓器への転移(遠隔転移)があるか

前立腺の5年生存率


次に、前立腺がんの5年生存率(ネット・サバイバル)を紹介します。

がん治療における5年生存率は「手術5年後に生存しているかどうか」の指標であり、完治しているかどうかを評価する指標ではありません。治療から5年を経過して生存していたとしても再発している可能性はあるものの、一つの目安として確認できるでしょう。

前立腺がんの5年生存率(ネット・サバイバル)は、以下の表の通りです。

対象数 集計対象

施設数

生存状況把握

割合

平均年齢 実測生存率 相対生存率 95%信頼区間
全体 38,907 389 98.3% 71.7歳 90.4% 99.2% 98.9% – 99.5%
Ⅰ期 14,982 383 98.3% 71.6歳 94.5% 100.0% 100.0% – 100.0%
Ⅱ期 11,634 371 98.5% 70.3歳 95.6% 100.0% 100.0% – 100.0%
Ⅲ期 5,847 365 98.4% 71.4歳 93.2% 100.0% 100.0% – 100.0%
Ⅳ期 5,711 377 98.2% 74.3歳 68.0% 77.0% 75.6% – 78.4%

(参考:がん情報サービス 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム

前立腺がんの標準治療


前立腺がんの標準治療について次章以降で詳しく解説します。基本的には前立腺がんのステージや状態、治療を受ける方の希望や体の状態、年齢などを含めて、医師と相談して決めていきます。場合によってはいくつかの治療法を組み合わせることもあります。

また、前立腺がんの治療は、生殖能力に影響することがありますので、今後子どもをもつことを希望している場合は、その旨を治療の検討段階で医師に伝えることが重要です。

監視療法

前立腺がんの標準治療1つ目は、監視療法です。

監視療法とは、前立腺がんが検査などで見つかったとしても、治療を開始しなくても余命に影響がないと判断される場合に選択されるものです。経過観察をしていきながら過剰な治療は行いません。数カ月、年単位で定期的に検査を受け、病状が悪化する兆しがあった時点で、治療の開始を検討します。

フォーカルセラピー

前立腺がんの標準治療2つ目は、フォーカルセラピーです。

がん治療と機能温存の両立を目指した新しい治療法として知られているフォーカルセラピーでは、高密度焦点超音波療法(HIFU)、凍結療法、小線源療法などを用いることがあります。

がんを治療しながら正常組織を可能な限り残すことを目的に行われます。フォーカルセラピーにはさまざまな治療が含まれるため、評価が難しく十分な根拠がありません。ですので、医師とよく相談して治療方法を検討することが重要です。

手術療法

前立腺がんの標準治療3つ目は、手術療法です。

前立腺と精のうを摘出します。その後、膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘除術を行います。

手術療法は、主にステージ1〜2期の前立腺がんで選択されることが多いです。前立腺がんでは、いくつかの手術方法があります。

  • 開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術)
  • 腹腔鏡手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)
  • ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)

 

手術療法の合併症は、以下の通りです。

  • 尿失禁
  • 性機能障害

など。

放射線療法

前立腺がんの標準治療4つ目は、放射線療法です。

放射線治療は、高エネルギーのX線や電子線を利用して治療を行います。外照射療法と、組織内照射療法があります。がんを小さくする効果が期待でき、手術療法に比べて身体的な負担が少なく、年齢が高い方でも受けやすい治療法として知られています。

主にステージ1〜2期の前立腺がんで選択されることが多く、ステージ3の前立腺がんでは、後述する内分泌療法と組み合わせて治療が行われるケースがあります。

放射線療法の主な副作用は、以下の通りです。

  • 排尿困難
  • 頻尿
  • 尿失禁

など。

 

ホルモン療法(内分泌療法)

前立腺がんの標準治療5つ目は、ホルモン療法(内分泌療法)です。

前立腺がん のホルモン療法(内分泌療法)は、薬物療法の一種で、内分泌療法は手術療法や放射線療法が難しい場合や、放射線療法を受ける前後、他の臓器にがんが転移した場合などに選択されることが多いです。

また、内分泌療法のみでは、がんを根治することは難しいとされています。長く内分泌療法の治療を続けていると反応が弱くなり、落ち着いていた病状がぶり返す可能性があるため、注意が必要です。長期間の内分泌療法によって病状がぶり返したがんのことを、去勢抵抗性前立腺がんと呼びます。

ホルモン療法(内分泌療法)の主な副作用は、以下の通りです。

  • ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、急な発汗)
  • 性機能障害
  • 乳房の症状
  • 骨に対する影響
  • 疲労

など。

 

化学療法

前立腺がんの標準治療6つ目は、化学療法です。

化学療法は、薬物療法の一種です。前立腺がんにおける化学療法(抗がん剤による治療)では、薬を注射や点滴または内服することで治療を行います。

前立腺がんの標準治療で使用される主な薬は、以下の通りです。

  • ドセタキセル水和物
  • カバジタキセル(ジェブタナ)
  • エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物

 

前立腺がんにおける化学療法は、がんの根治を目指すものではありません。抗がん剤を使いながら、がんの増殖や痛みを抑えることを目指す治療法です。主に転移がある進行がんで、ホルモン療法(内分泌療法)の効果が弱くなってきた場合に選択されるケースが多いです。

主な副作用は、以下の通りです。

  • 貧血
  • 脱毛
  • 食欲不振
  • だるさ
  • 好中球減少
  • 貧血
  • 下痢

など。

 

標準治療に加えて検討できる免疫療法


前述した標準治療の他にも、全てのステージで治療の検討をできる免疫療法という治療法があります。

免疫療法とは、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。一部のがんを除き基本的にほとんどのがんに適応している治療法です。

免疫療法は大きく以下の2つに分けられます。

  • 免疫チェックポイント阻害薬による治療
  • 免疫細胞療法

次章以降で詳しく解説します。

免疫チェックポイント阻害薬による治療

免疫チェックポイント阻害薬による治療では、免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を保つための薬を用います。T細胞やがん細胞のアンテナに作用し、免疫にブレーキがかかることを防ぐことができます。

ただしがんの腫瘍内で癌細胞を攻撃するT細胞などの免疫細胞が極端に少ないため、前立腺がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬による治療は全体のごく少数にしか適用されていません。

現在、免疫チェックポイント阻害薬による治療の効果を高めようと、超音波と免疫チェックポイント阻害剤の併用などさまざまな研究開発が進められています。

免疫チェックポイント阻害薬の主な副作用は、以下の通りです。

  • 間質性肺炎
  • 大腸炎
  • 一型糖尿病
  • 甲状腺機能障害
  • 肝・腎機能障害
  • 皮膚障害
  • 重症筋無力症
  • 筋炎
  • ぶどう膜炎

など。

免疫細胞療法

免疫細胞療法は、手術・放射線治療・薬物療法と組み合わせることで、 相乗効果が期待できる治療法です。ホルモン療法と併用しやすいことが知られています。重篤な副作用は少ないですが、まれに軽い発熱、発疹などが出る可能性はあります。

免疫細胞療法の種類を紹介します。

  • 樹状細胞ワクチン療法
  • エフェクターT細胞療法
  • NK細胞療法
  • アルファ・ベータT細胞療法(αβT細胞療法)
  • ガンマ・デルタT細胞療法(γδT細胞療法)
  • 6種複合免疫療法

まとめ


今回は、前立腺がんは進行が早いのか、進行スピードや5年生存率、治療法について解説しました。

前立腺がんは進行が早いケースもありますが、ゆっくり進行するケースのほうが多いことが知られています。5年生存率はステージによって異なります。主な治療法としては、監視療法、フォーカルセラピー、手術療法などが知られています。

同仁がん免疫研究所では、6種複合免疫療法の治療を行っています。厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。同仁がん免疫研究所の細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法に関する詳細は、 こちらよりご確認ください。

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