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浸潤性小葉がんについて解説|特殊型乳がんの治療法とは?

がんは多くの方が知っている疾患ですが、発生部位によって、進行の仕方や治療法など、さまざまな違いがあります。

浸潤性小葉がんとは、胸の組織の一つである小葉に生じるがんです。

今回は、小葉がんの詳細が気になっている患者さんやご家族などに向けて、情報を紹介します。

特殊型乳がんの治療法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

浸潤性小葉がんとは?


まず、浸潤性小葉がんとはどのようながんか、概要を紹介します。

浸潤性小葉がんは、特殊型乳がんの一つです。胸の組織の一つである小葉内でがん細胞が増え、小葉の膜を破って外に出ている、つまり浸潤している状態のことをいいます。発見時には大きな腫瘍となっていることが多いという特徴があります。

また腹膜、卵巣、消化管に転移しやすいため、注意が必要です。浸潤性小葉がんは、乳がん全体の約5%の頻度で発生し、特に50歳以降の女性に発症しやすいと言われています。

小葉がんと乳管がんの違い

続いては、小葉がんと乳管がんの違いを見ていきましょう。

乳管がんは、一般的な乳がんです。胸の組織の一つである乳管内でがんが増えることによって進行し、骨に転移しやすいという特徴があります。予後は小葉がんの方が比較的良好ですが、術後6年間の再発率は小葉がんの方が高いと言われています。術後10年間の死亡率も小葉がんの方の方が高い傾向にあります。

その他の特殊型乳がん


特殊型乳がんにはいくつかの種類があります。粘液がん、アポクリンがん、髄様がん、管状がん、腺様嚢胞がんの特徴を解説します。

粘液がん

粘液がんは、特殊型乳がんの一つで、乳がん全体の約3%を占めます。粘液産生を特徴とし、ほぼ腫瘍全体が粘液状の病巣で占められますが、進行は緩やかで、予後も通常の乳がんほど悪くない傾向にあります。

アポクリンがん

アポクリンがんは、特殊型乳がんの一つです。アポクリンがんは、乳がん全体の約1%を占めます。アポクリン腺があるワキや乳輪、眼瞼などで発症し、中高年の男性に起こるケースが多いと言われています。

髄様がん

髄様がんは、特殊型乳がんの一つです。髄様がんは、乳がん全体の約0.3%を占めます。甲状腺がんの一種でもあり、カルシトニンを分泌する傍濾胞細胞(ぼうろほうさいぼう)に由来するがんです。

管状がん

管状がんは、特殊型乳がんの一つです。管状がんは、乳がん全体の約0.2%を占めます。粘液がんよりもさらに病気の進行が緩やかで、1cm未満でみつかることが多いと言われています。

腺様嚢胞がん

腺様嚢胞がんは、特殊型乳がんの一つで、乳がん全体の約0.1%を占めます。粘液がんや管状がんよりもさらにまれなタイプです。分泌腺から発生する悪性腫瘍で、予後は良好な傾向にあります。

浸潤性小葉がんをはじめとした乳がんのステージ


続いては、浸潤性小葉がんをはじめとした乳がんのステージを解説します。浸潤性小葉がんのステージは、乳がんのステージ分類に基づいて考えます。浸潤性小葉がんだからステージ〇、といった基準はありません。

ただし、発見時には大きな腫瘍となっていることが多いことから、ある程度ステージが進んでいるケースが考えられます。

乳がんの病期(ステージ)は、以下の通りです。

がんの大きさ リンパ節転移 遠隔転移
0期 非浸潤がん なし なし
Ⅰ期 2cm以下 なし なし
ⅡA期 2cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
2cm~5cm以下 なし なし
ⅡB期 2cm~5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
5cm~ なし なし
ⅢA期 5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されて動かない。あるいは、リンパ節が互いに癒着している。または、腋窩リンパ節に転移はないが内胸リンパ節に転移がある。 なし
5cm~ 腋窩リンパ節か内胸リンパ節に転移がある。 なし
ⅢB期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、がんが胸壁に固定されている。または、がんが皮膚に出たり皮膚が崩れたりむくんでいる。しこりがない炎症性乳がんも、このⅢB期から含まれる。 なし
ⅢC期 がんの大きさに関わらず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移がある。または、鎖骨の上もしくは下のリンパ節に転移がある。 なし
Ⅳ期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、骨、肝臓、肺、脳など他の臓器への遠隔転移がある。 あり

浸潤性小葉がんの治療法


浸潤性小葉がんの主な治療法を紹介します。主な治療法として、手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法があります。特殊型乳がんでは、組織型の特性に基づいて薬物療法を選択することが望ましいとされています。

ですが、そもそもの患者数が少ないため、確立された治療法はありません。患者さんの希望や生活環境、年齢を含めた体の状態、がんの進行状態などを見ながら、適した治療法を医師と決めていくことが重要です。

また、がんの治療は妊娠や出産に影響することがあるため、将来子どもをもつことを希望している場合は、事前に医師に相談するようにしましょう。

手術療法

浸潤性小葉がんの主な治療法1つ目は、手術療法です。

浸潤性小葉がんの手術療法には、乳房部分切除術(乳房温存手術)と乳房全切除術の2つがあります。乳房部分切除術(乳房温存手術)は、乳房の一部を切除します。がんから1〜2cm離れた周囲を含めて切除し、美容的にも満足できる乳房を残すことを目的としています。

一方、乳房全切除では名称の通りすべての乳房を切除します。乳がんが広範囲に広がっている場合や、乳房の離れた場所に複数にがんがある場合に適応されます。術後に乳房の再建手術を行うこともあります。

浸潤性小葉がんの手術療法の主な合併症として、手術の後出血が起こる可能性があります。術後の出血の程度がひどければ再度全身麻酔をかけ、止血術を行う必要があります。

また、手術した部位が感染し処置を要することもあります。

放射線療法

浸潤性小葉がんの主な治療法2つ目は、放射線療法です。

浸潤性小葉がんの放射線療法では、がんに高エネルギーのX線を照射します。がん細胞を死滅させたり、小さくすることを目的とします。1日1回、週5回で約4〜6週間かけて照射するスケジュールが一般的です。放射線療法は、術後の補完治療として行われることが多い治療法です。

放射線療法の主な副作用は以下の通りです。

  • 皮膚が日焼けのように赤くなる
  • 皮膚がかゆくなる
  • 皮膚がひりひりする
  • 皮膚表面がむける
  • 皮膚表面が水ぶくれのようになる
  • 肺炎
  • のどの違和感や飲み込むときの痛みを感じる

 

乳房部分切除術後の放射線治療の主な副作用は以下の通りです。

  • 照射後に乳房が腫はれてやや硬くなる
  • 乳房が少し縮んで小さくなる
  • 乳汁をつくる機能が失われる

 

副作用に配慮するため、アルコールや香辛料など刺激の強い飲食物の摂取を避けたりと、放射線療法後の過ごし方に留意しましょう。

薬物療法

浸潤性小葉がんの主な治療法3つ目は、薬物療法です。

薬物療法は、再発の危険性を下げることや手術前のがんを小さくすること、手術が困難な場合の延命など、さまざまな目的があります。中でも、術後の補完治療として行われることが多い傾向にあります。

浸潤性小葉がんの薬剤治療では、ホルモン療法、分子標的薬が使用されます。どの薬剤を使用するかは、主にサブタイプ分類によって決定します。サブタイプ分類がトリプルネガティブ乳がんである場合には、細胞障害性抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬が適応されます。

浸潤性小葉がんの薬剤治療の主な副作用は、治療薬によって異なります。治療薬ごとの副作用を表形式で紹介します。

ホルモン療法薬 ホットフラッシュ、性器出血、骨密度低下、関節痛、気分が落ち込む、イライラする
分子標的薬 悪寒、下痢、発疹
細胞障害性抗がん薬 肝機能障害、腎機能障害、口内炎、吐き気、脱毛、下痢
免疫チェックポイント阻害薬 発熱、悪寒、かゆみ、発疹、まぶたや唇が腫れる、呼吸困難

免疫療法

浸潤性小葉がんの主な治療法の4つ目は、免疫療法です。

浸潤性小葉がんの免疫治療は、近年第4の治療法として注目を集めています。体に備わる免疫力を強化し、がん細胞を攻撃する治療法です。免疫細胞療法は、がんの種類やステージを問わず受けられる治療ですので、末期がんであっても受けられます。

免疫療法には、免疫チェックポイント阻害薬を使う方法とその他の免疫療法があります。免疫細胞療法というものもあり、さまざまな種類の治療があります。

代表的な治療法として、NK細胞療法や樹状細胞ワクチン療法、アルファ・ベータT細胞療法、アルファ・ベータT細胞療法、6種複合免疫療法が知られています。

6種複合免疫療法は、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻す療法です。役割が異なる6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、より高い効果が期待できます。

まとめ


今回は、浸潤性小葉がんについて解説しました。

浸潤性小葉がんは、特殊型乳がんの一つです。浸潤性小葉がんの治療法として、手術療法・放射線療法・薬物療法・免疫療法があります。

がんは早期に発見することで適切な治療を受けることができ、予後にも良い影響を及ぼします。定期的な検査をおこない早期発見に努めましょう。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法についてより詳しく知りたい方は、こちらよりご確認ください。

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