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末期の乳がんは痛みがある? 主な症状や治療法について解説

がんは部位や進行度によって、さまざまな症状が現れます。今回は、末期の乳がんについての情報をまとめています。

末期の乳がんは痛みがあるのでしょうか。乳がん患者さんや親族の方に向けて、主な症状や治療法について解説しますので、ぜひ参考にご覧ください。

乳がんとは?


まず乳がんとはどのようながんのことか、概要を解説します。

乳がんとは、乳腺の組織にできるがんのことをいいます。乳管から発生することが多いですが、一部は小葉や乳腺以外の乳房の組織から発生することもあります。

また、一見女性特有の疾患かと思われがちですが、女性も男性も発症することがあります。乳がんは女性の罹患率1位、女性の死亡数5位のがんです。

(参考:がん情報サービス 最新がん統計

乳がんを自己診断で早期発見することは難しいため、定期的な検診が大切です。

乳がんのステージ(病期)


次に、乳がんのステージ(病期)を紹介します。

ステージが大きいほどがんが進行しているということを表します。乳がんの場合、がんが乳房の中でどこまで広がっているか、リンパ節転移があるか、遠隔転移があるかなどによって進行度が決まります。

乳がんの病期(ステージ)は、以下の通りです。

がんの大きさ リンパ節転移 遠隔転移
0期 非浸潤がん なし なし
Ⅰ期 2cm以下 なし なし
ⅡA期 2cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
2cm~5cm以下 なし なし
ⅡB期 2cm~5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されておらず動く。 なし
5cm~ なし なし
ⅢA期 5cm以下 腋窩リンパ節に転移。そのリンパ節は固定されて動かない。あるいは、リンパ節が互いに癒着している。または、腋窩リンパ節に転移はないが内胸リンパ節に転移がある。 なし
5cm~ 腋窩リンパ節か内胸リンパ節に転移がある。 なし
ⅢB期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、がんが胸壁に固定されている。または、がんが皮膚に出たり皮膚が崩れたりむくんでいる。しこりがない炎症性乳がんも、このⅢB期から含まれる。 なし
ⅢC期 がんの大きさに関わらず、腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移がある。または、鎖骨の上もしくは下のリンパ節に転移がある。 なし
Ⅳ期 がんの大きさやリンパ節転移の有無に関わらず、骨、肝臓、肺、脳など他の臓器への遠隔転移がある。 あり

なお「末期がん」というのは、厚生労働省によると「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難または治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」と定義されています。

ただし、ステージ4のがんのことを「末期がん」と呼ぶケースもありますので、もし医師から「末期がん」と伝えられた場合は、どのような状態のことなのか医師に詳しく確認することが大切です。

ステージ別の乳がんの5年生存率

続いては、ステージ別の乳がんの5年生存率(ネット・サバイバル)を紹介します。がん治療における5年生存率は、手術後5年間生存しているかを示す指標であり、完治を意味するものではありません。治療から5年を経過して生存していたとしても再発している可能性はあるものの、一つの目安として確認できるでしょう。

ステージ別の乳がんの5年生存率(ネット・サバイバル)は以下の通りです。

病期 対象数 集計対象

施設数

生存状況把握

割合

平均年齢 実測生存率 ネット・サバイバル
全体 83,208 440 98.4% 60.3歳 88.1% 91.6%
Ⅰ期 38,657 437 98.4% 60.2歳 95.2% 98.9%
Ⅱ期 30,509 440 98.3% 60.0歳 90.9% 94.6%
Ⅲ期 9,767 436 98.4% 60.8歳 77.3% 80.6%
Ⅳ期 3,935 425 98.3% 60.5歳 38.6% 39.8%

乳がんの5年生存率は、近年大幅に改善しているといわれています。

痛みはある? 乳がんの進行段階別症状


乳がんは初期段階では痛みや自覚症状はほとんどありませんが、進行して末期になると痛みが生じるケースが多いです。ただし、痛みが必ずしも末期の兆候であるとは限らず、初期段階でも乳がん以外の原因で痛みが生じることがあります。

乳がんが進行すると、以下のような症状が表れることもあります。

  • 乳房のしこり
  • 乳房のくぼみ
  • 乳頭や乳輪のただれ、赤み、腫れ
  • 左右の乳房が非対称になる
  • 乳頭からの分泌物

など。

さらに末期になると以下のような痛みが生じることがあります。

  • リンパ節などに転移している場合、脇の下や胸壁などに痛みが生じることがある
  • 骨に転移している場合、腰痛や背中の痛み、股関節の痛み、腕の痛みなどが生じることがある

その他にも、がん細胞が増殖し炎症を起こしたり、潰瘍が発生したりして痛みが生じることもあります。

末期の乳がんの治療法


末期の乳がんの主な治療法について、次章で解説します。

ここではステージ4の乳がんの治療法を紹介します。ステージ4の乳がんの場合、薬物療法がメインです。症状の緩和が見込まれる場合には手術や放射線治療を追加します。

ただし治療法については、治療を受ける方の希望、年齢、体調などを加味して、医師と相談して決めることが重要です。治療には、進行スピードを遅くする目的で行うものや、痛みなどの症状を和らげる目的で行うものがあります。

また、治療法によって痛みを含めた副作用や合併症が起こる恐れもあるので、それらも加味して治療法を検討することが大切です。

さらに、がんの治療が妊娠や出産に影響する恐れがありますので、将来子どもをもちたいと考えている場合は、事前に医師に相談するようにしましょう。

薬物療法

末期の乳がんの治療法1つ目は、薬物療法です。

乳がんの薬物療法で使われる薬には、主にホルモン療法薬、分子標的薬、細胞障害性抗がん薬、免疫チェックポイント阻害薬などがあります。それぞれの治療薬の特徴を紹介します。

ホルモン療法薬 女性ホルモンが原因となってがんが増殖してしまう場合に使用されます。抗エストロゲン薬、LH-RHアゴニスト製剤、選択的アロマターゼ阻害薬、プロゲステロン製剤(黄体ホルモン剤)などが使用されます。一般的に投与期間が長く、投与中には妊娠できません。
分子標的薬 特定の分子を攻撃する効果があります。がん細胞の増殖に関わる増殖因子、増殖因子の受容体、細胞内シグナル伝達物質などを左右します。体への負担は、比較的軽いと考えられています。
細胞障害性抗がん薬 細胞の増殖の仕組みに着目した薬剤です。がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃してしまう可能性が高く、副作用が強い傾向にあります。
免疫チェックポイント阻害薬 免疫細胞が正常に働いてがん細胞を攻撃することができるようサポートする効果があります。PD-1、PD-L1/2、CTLA-4、LAG-3などのチェックポイントがあることが分かっています。

薬物療法の主な副作用

薬物療法で起こり得る主な副作用を説明します。治療薬ごとの副作用を表形式で紹介します。

ホルモン療法薬 ホットフラッシュ、性器出血、骨密度低下、関節痛、気分が落ち込む、イライラする
分子標的薬 悪寒、下痢、発疹
細胞障害性抗がん薬 肝機能障害、腎機能障害、口内炎、吐き気、脱毛、下痢
免疫チェックポイント阻害薬 発熱、悪寒、かゆみ、発疹、まぶたや唇が腫れる、呼吸困難

手術療法

末期の乳がんの治療法2つ目は、手術療法です。

ステージ4の乳がんの場合、手術療法は選択されないケースも多いです。腋窩リンパ節にがんが転移していると診断された場合は、腋窩リンパ節郭清が行われます。切除する範囲やリンパ節の数は、転移の範囲によって変わります。

手術療法の主な合併症

手術療法で起こり得る主な合併症を説明します。合併症として、手術の後出血が起こる可能性があります。後出血の程度がひどければ再度全身麻酔をかけ、止血術を行う必要があります。

また、手術した部位に感染がおこり、処置を要することもあります。腋の下のリンパ節を切除する際には、知覚神経に傷害が加わることもあります。知覚神経に傷害が加わることで、が術後しびれたような感じになることも考えられるでしょう。

放射線療法

末期の乳がんの治療法3つ目は、放射線療法です。

ステージ4の乳がんでは、薬物療法と併せて放射線療法が行われることがあります。

放射線療法の主な副作用

放射線療法で起こり得る主な副作用は、以下の通りです。

  • 皮膚が日焼けのように赤くなる
  • 皮膚がかゆくなる
  • 皮膚がひりひりする
  • 皮膚表面がむける
  • 皮膚が水ぶくれのようになる

 

また、乳房部分切除術後の放射線治療では以下のような副作用が生じる可能性があります。

  • 照射後に乳房が腫れる
  • 乳房がやや硬くなる
  • 数カ月後には乳房が少し縮んで小さくなる
  • 乳汁をつくる機能が失われる
  • 肺炎が起こることもある

 

その他に検討できる乳がんの治療法


続いては、上記以外にも検討できる乳がんの治療法や痛みの緩和方法などをいくつか紹介します。

免疫細胞療法

検討できる乳がんの治療法として、免疫細胞療法があります。免疫細胞療法は、がんの種類やステージを問わず受けられる治療です。末期がんであっても受けられます。

また、他の治療法と組み合わせて受けられ、再発・転移予防にも効果的です。重篤な副作用は少ないですが、まれに軽い発熱、発疹などが出る可能性があります。

前述した免疫チェックポイント阻害薬と合わせて、免疫療法と呼ばれることもあります。免疫細胞療法と一口にいっても、さまざまな治療法があります。ここではいくつかの免疫細胞療法をピックアップして、概要を紹介します。

樹状細胞ワクチン療法 樹状細胞ワクチン療法とは、樹状細胞の働きを活かした免疫治療です。樹状細胞は、がんの目印を最初に体内で認識し、その情報をリンパ球に伝える役割を担っています。樹状細胞ワクチンを使うがんワクチン療法は、効果が証明されていない免疫療法で、保険診療は適応されません。
アルファ・ベータT細胞療法 アルファ・ベータT細胞療法とは、自己免疫力を高めることでがんを小さくしたり、がんが大きくなるのを遅くしたりと、免疫機能が働きやすい環境を作ることを狙った治療法です。アルファ・ベータT細胞療法は、さまざまな医療機関で行われており、安全性も高いと言われています。
ガンマ・デルタT細胞療法 ガンマ・デルタT細胞療法とは、ガンマ・デルタ型のT細胞受容体を持つT細胞を活性化したものを利用する治療法です。ガンマ・デルタT細胞は、より的確にがん細胞を見つけて攻撃する効果があります。
NK細胞療法 NK細胞療法とは、ナチュラルキラー細胞であるNK細胞を活用した治療法です。自然免疫と呼ばれるNK細胞を活用します。特殊なNK細胞培養培地を用いることで、効率的に高い細胞殺傷能力を持ったNK細胞の培養ができます。
6種複合免疫療法 6種複合免疫療法とは、免疫細胞を一度体外へ取り出し、活性化・増殖させて体内へ戻す療法です。役割が異なる6種類の免疫細胞が1つのチームとなって働くことで、高い効果が期待できます。

緩和ケア

緩和ケアとは、患者の方の体のつらさや精神的なつらさをやわらげるためのケアのことです。患者の方のQOL(生活の質)を上げるために行われます。末期がんと診断されて、緩和ケアに切り替える方もいますが、がんと診察されたタイミングから、標準治療と並行していつでも受けられます。通院や入院、在宅療養などさまざまな方法で受けられるため、負担も軽減できるでしょう。

がんになると、患者の方はもちろん家族の方も大きなショックを受けますので、家族の方も緩和ケアを受けられます。

まとめ


今回は、末期の乳がんには痛みがあるのかを解説しました。末期の乳がんには痛みが生じやすいと言われています。

ただし、初期段階でも乳がん以外の要因によって痛みが生じる場合があります。乳がんの主な症状は、乳房のしこり、くぼみ、乳輪のただれ、乳頭からの分泌物などがあります。乳がんの主な治療法は、薬物療法や手術療法、放射線療法です。この他にも免疫療法も検討されることがあります。

同仁がん免疫研究所は、今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている施設です。

同仁がん免疫研究所では、厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設にて、極めて高度な安全管理体制のもとで細胞培養の委託を受けています。

細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法についてより詳しく知りたい方は、こちらよりご確認ください。

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