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スキルス胃がんは完治する? 発症原因や5年生存率、治療法などについて解説

「スキルス胃がん」は、脅威度の高い疾患だと言われています。

治療に関しても難航する傾向が多く、克服・完治は可能なのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、スキルス胃がんの完治について解説します。スキルス胃がんの原因、完治までのプロセス、免疫治療についても紹介します。胃がんやスキルス胃がんを患っている方、そのご家族の方は、ぜひ参考にご覧ください。

スキルス胃がんとは?


まずはスキルス胃がんがどのような疾患なのか、紹介します。

一般的な胃がんでは、胃の粘膜の細胞が悪性化し、無秩序に増殖していくことが原因です。ですが、胃がんの中には、胃の壁を厚く硬くさせて広がっていくスキルス胃がんというものがあります。

また、スキルス胃がんには、硬がん、びまん性胃がん、linitis plastica型胃がん、BorrmannⅣ 型胃がんなど、さまざまな呼び名があります。

スキルス胃がんは胃がんの約10%に発生するといわれています。 内視鏡などで発見しにくいという特徴があり、かつ進行スピードも早い傾向にあります。発見したときには既に進行しており、約60%で転移が見られ治りにくいがんとされています。

スキルス胃がんを発症する原因


続いては、スキルス胃がんを発症する原因を紹介します。まず、一般的な胃がんを発症する主な原因は以下の通りです。

  • ヘリコバクターピロリ菌感染による萎縮性胃炎
  • 慢性胃炎
  • ストレス
  • 生活習慣(塩分の多い食事、喫煙、飲酒)
  • 遺伝子変異

ただし現段階では、スキルス胃がんが生じる原因は明らかになっていません。(※2023年11月時点)

何らかの遺伝子変異や血縁者にスキルス胃がんの既往があることが関係しているという仮説がありますが、これらの説も確定はしていません。また、スキルス胃がんは突然発症するのではなく、数年かけて徐々に早期がんがスキルス胃がんになっていくと言われています。そのため、スキルス胃がんになる前に早期発見し、効果的な治療をすることが重要です。

スキルス胃がんを発症しやすい年齢・性別


次に、スキルス胃がんを発症しやすい年齢・性別を紹介します。

一般的な胃がんは50代以降の発症が多いと言われています。しかし、スキルス胃がんの場合は、20〜40代でも発症する傾向があります。

また、一般的な胃がんは女性よりも男性の方が発症しやすいのですが、スキルス胃がんの場合は女性の罹患率の方が高い傾向にあり、60〜70%が女性と言われています。

スキルス胃がんは完治する? 5年生存率


では、スキルス胃がんは完治するのでしょうか。

胃がんを含めた消化器系のがんは、治療後5年を超えてがんが再発しなければ基本的に完治したと判断されます。がん治療における5年生存率は「手術5年後に生存しているかどうか」の指標であり、完治しているかどうかを評価する指標ではありません。そのため治療から5年を経過して生存していたとしても再発している可能性はあるものの、一つの目安として確認できるでしょう。

胃がん全体の5年生存率は約60〜70%だと言われています。一方でスキルス胃がんの5年生存率は10%程度とされています。胃がん全体の数値と比較してもスキルス胃がんは完治しにくい傾向にあると言えるでしょう。

スキルス胃がんの症状


続いては、スキルス胃がんの症状を見ていきましょう。

スキルス胃がんの症状は、一般的な胃がんとほぼ同様です。初期と進行期の症状を、次章以降で詳しく紹介します。

初期の症状

まずは、初期の症状を紹介します。スキルス胃がんの初期は症状がほとんどありません。

もし症状がある場合、以下のような状態が挙げられます。

  • 食欲の低下
  • 胃のムカつき
  • 下痢
  • 体重の減少

など。

ただし、スキルス胃がんの初期の症状は「少し調子が悪い」程度であることが多いため、初期段階では胃がんであることに気付かないケースが多いと言われています。体調に異変を感じる場合にはそのままにせず、早期に医療機関を受診し、医師の指示を仰ぎましょう。

進行期の症状

次に、進行期の症状を紹介します。スキルス胃がんの進行期の主な症状は以下の通りです。

  • 上腹部の痛み
  • 吐き気、嘔吐
  • 吐血
  • 下血
  • 黒色の便
  • 腹水の貯留

上記のような症状が出ていると、既にスキルス胃がんが広がっている状態である可能性が高いので、注意が必要です。医療機関を受診し、治療を開始しましょう。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)が起こると完治しにくい

スキルス胃がんでは、腹膜播種(ふくまくはしゅ)が起こりやすいと言われています。腹膜播種とは、自身では分からない症状で、胃の粘膜には腫瘍が広がらない一方で胃壁の外側に進行していきます。胃壁から腫瘍が露出し、腹腔内に飛び火してしまう恐れがあり、注意が必要です。腹膜播種が起こると手術で完治させることが難しくなるため、抗がん剤治療などが治療のメインとなるでしょう。

スキルス胃がんの治療法


続いては、スキルス胃がんの治療法を紹介します。がんの進行度などによっても治療法は変わります。手術と抗がん剤など複数の治療法を組み合わせることも多く、さまざまな治療法が検討されます。次章以降で、スキルス胃がんの主な治療法について見ていきましょう。

手術による治療

スキルス胃がんの治療法1つ目は、手術による治療です。

手術によってがんを切除する治療法で、腹腔鏡手術や開腹手術、ロボット支援下腹腔鏡下手術などがあります。それぞれの手術の概要について簡単に紹介します。

腹腔鏡手術とは、腹部に小さな穴をあけて行う低侵襲手術です。一般的に、穴は3から5か所程度あけます。穴には内視鏡や器具を挿入するための筒を挿入し、お腹を炭酸ガスで膨らませながら治療を行います。内視鏡により腹腔内をモニターに映し出しながら手術を進め、切除した臓器を穴より摘出します。

開腹手術とは、名前の通り、腹壁を切開して腹腔内の治療を行います。切開方法はさまざまで、主に交差切開法や腹部正中切開を行います。腹腔鏡手術と異なり、医師が患部を直接見ることができるというメリットがあります。ただし傷口は大きいので、術後の回復にも時間を要します。

ロボット支援下腹腔鏡下手術は、分類としては内視鏡手術である、低侵襲手術です。ロボットにより繊細で精密な手術が行えるというメリットがあります。腹腔鏡手術と同様に、炭酸ガスでおなかを膨らませながら治療を行います。

内視鏡による治療

スキルス胃がんの治療法2つ目は、内視鏡による治療です。

口から内視鏡スコープを入れて消化管や胃の内側を観察し、がんを切除する方法です。手術と比較して痛みが少ないことや治療後の回復が早い傾向にあること、麻酔をして受けるため体への負担が少ないなどのメリットがあります。

ただし一度に切除できると考えられるような早期のがんにのみ対応でき、進行しているスキルス胃がんには適さないというデメリットがあります。

抗がん剤による治療

スキルス胃がんの治療法3つ目は、抗がん剤による治療です。点滴や飲み薬などで抗がん剤を体内に投与し、がん細胞を小さくする治療法です。腹膜播種がある場合や手術などでがんを取りきることが難しい場合に、抗がん剤による治療が行われます。

ですが、抗がん剤による治療では、さまざまな副作用が起こる可能性があります。主な副作用は、以下の通りです。

  • アレルギー反応
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振
  • 便秘
  • 疲れやすさ、だるさ
  • 口内炎
  • 感染症
  • 手足のしびれ
  • 骨髄抑制
  • 肝機能障害、腎障害、心機能障害

など。

抗がん剤による治療に関する情報や副作用の詳細については「KW:化学 療法 とは」の記事をご確認ください。

放射線による治療

スキルス胃がんの治療法4つ目は、放射線による治療です。がん細胞に放射線を照射してがん細胞を小さくする治療法です。胃がんの場合あまり効果的な治療成績が得られなかったり、胃周囲の臓器が放射線に弱かったりするため、補助的な治療になるケースが多いと言われています。

スキルス胃がんの新たな治療法


続いては、スキルス胃がんの新たな治療法を見ていきましょう。上記で紹介した治療法の他にも現在研究が進んでいる新たな治療法として、免疫療法や遺伝子治療があります。免疫療法や遺伝子治療の詳細については、次章以降で紹介します。

免疫療法

免疫療法とは、治療を受ける方の体に元々備わっている免疫細胞を利用して、がんを治療する方法です。一部のがんを除き基本的にほとんどのがんに適応している治療法です。免疫療法には主に以下に挙げるような治療法があります。

  • 免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法
  • エフェクターT細胞療法
  • 免疫細胞治療

各治療法について簡単に紹介します。免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法では、免疫細胞ががん細胞を攻撃する力を保つための薬を用います。T細胞やがん細胞のアンテナに作用し、免疫にブレーキがかかることを防ぐことができます。ですが、免疫チェックポイント阻害薬を使用すると、さまざまな副作用が起こる可能性があるため注意が必要です。

エフェクターT細胞療法とは、治療を受ける方の免疫細胞を抽出し、がん細胞の目印を見分ける遺伝子を組み入れて増殖し、体内に戻す治療法です。がん細胞への攻撃力を高める効果が期待できる治療法として、注目を集めています。

免疫細胞治療とは、それぞれ異なる役割を持つ免疫細胞を培養・増殖させ、体内に戻す治療方法です。免疫細胞は元々体にあるもので、その力を活用します。そのため、免疫細胞治療はアレルギー反応などの重篤な副作用が起きにくいと言われています。また、基本的には体への負担が少ない治療方法のため、高齢者や体力がない人でも受けられる治療方法です。

現在、胃がんの治療に効果があると証明されているのは、ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法です。(※2022年7月時点)

遺伝子治療

遺伝子治療は、がん細胞に特異的な遺伝子を標的にした治療です。がん抑制遺伝子を投与することで、体内に備わるがん抑制機構を再び機能させる効果が期待できます。体内にある遺伝子を投与する治療法なので、免疫細胞治療同様に副作用などの負担が少ない傾向にあります。

また遺伝子治療は、遠隔転移がある末期がんにも適応可能だと言われています。

まとめ


今回は「スキルス胃がん」について紹介しました。

スキルス胃がんが生じる原因は明らかになっていません。また、5年生存率は10%程度です。このことから、克服・完治は難航する傾向にあるでしょう。ですが、現在さまざまな治療方法が研究されていますので、自分に適した治療法を医師と相談の上検討することで寛解を目指すことができます。

今回紹介した免疫療法の一つである「6種複合免疫療法」を行っている、同仁がん免疫研究所は、熊本市にある厚生労働省の許可を受けた細胞培養施設です。当施設では、細胞培養を行う上で極めて高度な安全管理体制を確立しており、全国の医療機関から細胞培養の受託を行っています。同仁がん免疫研究所の細胞培養数は圧倒的で、約3週間で1,000から2,000個の細胞を20から50億個まで培養できます。

6種複合免疫療法ついて、さらに詳しく知りたい方は「こちら」よりご確認ください。

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