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がん免疫療法コラム

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膵臓がんのステージ1とは?余命の目安・再発・完治をめざす治療

「膵臓がんのステージ1です」と告げられて、早く見つかったと安心してよいのか、この先どのくらい生きられるのか、再発しないかと不安を感じている方は少なくありません。

この記事では、膵臓がんのステージ1が何を表すのか、診断から1〜5年の生存率、手術と補助化学療法による治療、再発への備えを、国立がん研究センターの資料をもとに整理します。ご自身の病状は、必ず主治医と一緒に確かめてください。

この記事の要点

  • 膵臓がんのステージ1は、がんが膵臓の中にとどまり、リンパ節や他の臓器への転移がない段階です。がんの大きさが2cm以下なら1A、2cmを超えると1Bです[1]
  • 膵臓がんは小さいうちは症状が出にくく、ステージ1で見つかる人は全体の約14%です[2][3]
  • 2015年にステージ1と診断された人の生存率(実測生存率)は、1年で81.1%、3年で59.9%、5年で52.0%です[3]
  • 手術でがんを切除できる場合はできる限り手術を行い、再発しにくくするために、手術の前や後に薬物療法を行うことが多いです[1]

膵臓がんのステージ1とは

ステージは、がんの進行の程度を示す分類です。ステージ1からステージ4(Ⅰ期〜Ⅳ期)へと数字が大きくなるほど、より進行したがんであることを示します[1]。膵臓がんのステージは、がんの大きさや周りへの広がり、リンパ節への転移、他の臓器への転移(遠隔転移)があるかどうかで決まります[1]。

日本では、日本膵臓学会の「膵癌取扱い規約」と、国際対がん連合(UICC)の「TNM分類」のどちらかが使われます[1]。ステージ1は、どちらの分類でも「リンパ節への転移も、他の臓器への転移もない」段階で、がんの大きさによって1Aと1Bに分かれます[1]。

区分 膵癌取扱い規約(日本膵臓学会) TNM分類(UICC 第8版)
ステージ1A 大きさが2cm以下で、膵臓の中にとどまっている 大きさが2cm以下
ステージ1B 大きさが2cmを超えているが、膵臓の中にとどまっている 大きさが2cmを超え、4cm以下

(どちらも、リンパ節への転移と、他の臓器などへの転移がない場合[1])

膵臓がんのステージ1の模式図。ステージ1は、がんが膵臓の中にとどまり、リンパ節や他の臓器への転移がない段階で、膵癌取扱い規約では、がんの大きさが2cm以下なら1A、2cmを超えると1Bです。
膵臓がんのステージ1は、がんが膵臓の中にとどまり、リンパ節や他の臓器への転移がない段階です。膵癌取扱い規約では、がんの大きさが2cm以下なら1A、2cmを超えると1Bです。出典:国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 治療」をもとに作成

二つの分類では、1Bの決め方が少し違います。説明を受けたステージがどちらの分類によるものかは、主治医に確かめておくとよいでしょう。なお、がんが膵管の上皮の中にとどまっているもの(非浸潤がん)は、ステージ0とされます[1]。

ステージ1で見つかる人は多くない

膵臓は、がんが発生しても小さいうちは症状が出にくく、早期に見つけるのは簡単ではありません[2]。進行してくると、腹痛、食欲不振、体重減少、おなかが張る感じ、黄疸、腰や背中の痛みなどが起こることがあります[2]。

院内がん登録で2015年に膵臓がんと診断された7,927人のうち、ステージ1は1,077人で、約14%でした[3]。

膵臓がんの症状については、膵臓がんの症状・初期症状でまとめています。

ステージ1の生存率と「余命」の考え方

国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院などで初めての治療を受けた人の生存率を、ステージ別に公表しています(院内がん登録生存率集計)[3][4]。2015年に膵臓がんのステージ1と診断された人の生存率は次のとおりです。

膵臓がんのステージ1と診断された人の生存率の折れ線グラフ。診断から1年で81.1%、2年で68.3%、3年で59.9%、4年で54.4%、5年で52.0%です(2015年診断、実測生存率)。 膵臓がん ステージ1の生存率(診断からの年数ごと) 2015年診断・実測生存率・対象数1,077人 0% 20% 40% 60% 80% 100% 81.1% 1年 68.3% 2年 59.9% 3年 54.4% 4年 52.0% 5年 診断からの年数 ※2015年に診断された人の実測生存率です。一人ひとりの余命を示すものではありません。
(2015年診断、ステージ1、対象数1,077人、実測生存率、男女・全年齢・手術の有無を問わない全体)出典:国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率集計」をもとに作成
診断からの年数 生存率
1年 81.1%
2年 68.3%
3年 59.9%
4年 54.4%
5年 52.0%

(2015年診断、ステージ1、対象数1,077人、実測生存率、男女・全年齢・手術の有無を問わない全体[3])

膵臓がん全体の5年生存率は12.1%で[3]、ステージ1はそれより高い値です。一方で、ステージ1でも、5年後に生存している人は約半数です[3]。

「ステージ1の余命」を調べている方も多いと思います。ただし、生存率は「診断から一定の年数がたった時点で生存している人の割合」で、一人ひとりの余命を示すものではありません。この数字を見るときは、次の3点に気をつけてください。

  • 実測生存率は、死因に関係なく、がん以外の病気などで亡くなった人も含めて数えた値です[4]
  • 2015年に診断された人の結果です。治療の進歩などにより、近年の状況や、これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があります[4]
  • ここでのステージは、国際分類(UICC)にもとづく値です。膵癌取扱い規約のステージとは、少し異なる部分があります[4]。手術を受けたかどうか、年齢や体の状態によっても、一人ひとりの経過は違います

ステージ1の治療:手術と補助化学療法

膵臓がんでは、治療方針を決めるときに、まず「手術ができるかどうか」を検討し、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能」のどれに当たるかを調べます[1]。

切除可能な膵臓がんの治療の流れの図です。手術を中心に、多くの場合、手術の前に術前補助化学療法、手術の後に術後補助化学療法を行います。 切除可能な膵臓がんの治療の流れ 「切除可能」 と判断 多くの場合、手術の前や後に薬物療法を組み合わせる 術前補助 化学療法 手術の前 手術 できる限り行う 術後補助 化学療法 手術の後 ※手術のみ、または手術と薬物療法を組み合わせた治療を行います(点線の箱は、行う場合があるもの)。 ※ステージ0の場合は、通常は手術の前後に薬物療法は行いません。
出典:国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 治療」をもとに作成

切除可能なら、できる限り手術

手術でがんを切除できると考えられる「切除可能」な場合は、できる限り手術を行います[1]。手術のみ、もしくは手術と薬物療法を組み合わせた治療を行います[1]。

手術の方法は、がんのある場所によって、膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除術、膵全摘術があります[1]。おなかに小さな穴を開けて行う腹腔鏡下の手術や、ロボット支援下の手術を行うこともありますが、実施できる施設は限られています[1]。切除する膵臓の範囲によっては、手術の後に糖尿病や消化吸収障害などが起こり、その治療が必要になることがあります[1]。

手術の前や後の「補助化学療法」

膵臓がんでは、再発率を下げることを目的として、多くの場合、手術の前や後に細胞障害性抗がん薬を使った治療が行われます[1]。手術の前に行うものを「術前補助化学療法」、手術の後に行うものを「術後補助化学療法」といいます[1]。

切除可能な膵臓がんでは、手術の前や後に一定期間薬物療法を受けると、再発しにくくなる可能性が示されています[1]。なお、ステージ0の場合は、通常は手術の前後に薬物療法は行いません[1]。

再発と「完治」について

再発とは、治療によって見かけ上なくなったがんが、再びあらわれることです。もとの場所やその近くだけでなく、別の臓器で「転移」として見つかることも含めて再発といいます[1]。

ステージ1で手術を受けた場合でも、再発の可能性はあります。そのため、手術の前後の補助化学療法で再発しにくくすることが、治療の大切な一部になっています[1]。再発した場合は、それまでの治療の経過や体調をもとに方針を決め、治療が可能な場合は多くが薬物療法になります[1]。

「完治するか」も、多くの方が気にされる点です。がん情報サービスでは、手術でがんを取りきることを「治癒につながる切除」と説明しています。一方で、薬物療法だけでがんを完全に治すことは難しいとされています[1]。ステージ1で「切除可能」と判断された場合は、手術でがんを取りきることをめざします[1]。

主治医に確認しておきたいこと

治療を決める前に、次のことを確かめておくと、説明を整理しやすくなります。

  • 正式なステージ(1A・1B)と、どちらの分類によるものか
  • 「切除可能」と判断されているか、手術の方法と、切除する範囲
  • 手術の前や後の補助化学療法の予定と、期間・主な副作用
  • 手術の後に起こりうる合併症や、糖尿病・消化吸収障害への対応
  • 手術の後の検査の間隔と、再発したときの治療の考え方

ほかの医師の意見も聞いてから決めたいときは、セカンドオピニオンを利用できます。詳しくはセカンドオピニオンとは?をご覧ください。

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保険が適用されない自由診療で、費用は全額自己負担です。治療の対象になるか、期待できることやリスクは、提携医療機関の医師にご確認ください。

まとめ

膵臓がんのステージ1は、がんが膵臓の中にとどまり、転移がない段階です。症状が出にくいため、この段階で見つかる人は多くありません。手術でがんを取りきることが治癒につながる治療とされ、再発しにくくするために手術の前後に薬物療法を行うことが多くなっています。生存率は一つの目安として受け止め、ご自身の病状と治療の選択肢は、主治医と一緒に確かめてください。

この記事について

この記事は、株式会社同仁がん免疫研究所が、国立がん研究センターなど公的機関・学会の資料をもとに作成しています。当社は医療機関ではありません。病状や治療の判断は、必ず主治医にご相談ください。

記事内の数字は、出典に記載した時点・対象の統計です。

公開日:2026年10月29日 / 最終更新:2026年10月29日

出典

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 治療」(更新・確認日 2026年3月19日。表1「膵臓がんのステージ(病期)分類(日本膵臓学会)」は日本膵臓学会編『膵癌取扱い規約 第8版』、表2「膵臓がんの病期(UICC第8版)」は『TNM悪性腫瘍の分類 第8版』より作成されたもの) https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/treatment.html
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん」(更新・確認日 2026年4月3日) https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/index.html
  3. 国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」結果閲覧システム 膵臓がん 2015年診断・5年実測生存率(男女・全年齢・手術の有無は全体、2026年10月21日閲覧) https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2015&elapsed=5&type=c11
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率集計」トップページ(更新・確認日 2026年8月20日)と「院内がん登録生存率集計結果閲覧システムの見方」(実測生存率・総合病期の説明) https://hbcr-survival.ganjoho.jp/ ・ https://hbcr-survival.ganjoho.jp/assets/system/systemperspective.pdf

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