がん免疫療法コラム
卵巣がんのステージ分類とは?ステージ1〜4の違いと治療の流れ
「卵巣がんのステージは手術をしてから決まる」と説明されて、ご自身やご家族がいまどの段階にあるのか、これからどんな治療になるのかと不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、卵巣がんのステージ(進行期)が手術の後に分かる理由、ステージ1〜4とステージ3A・3B・3Cの違い、ステージ別の5年生存率、手術と薬物療法を中心とした治療の流れを、国立がん研究センターの資料をもとに整理します。ご自身の病状は、必ず主治医と一緒に確かめてください。
この記事の要点
- 卵巣がんのステージは、手術で切除した卵巣や卵管などを調べてから分かります。卵管がん・腹膜がんも同じ分類を使います[1]
- ステージ1は卵巣・卵管にとどまる段階、ステージ2は骨盤の中に広がった段階、ステージ3はおなかの中(腹膜)や後腹膜リンパ節に広がった段階、ステージ4はおなかの外などへの遠隔転移がある段階です[1]
- 2015年に診断された人の5年生存率(実測生存率)は、ステージ1で88.7%、ステージ3で45.7%、ステージ4で28.5%です[2]
- 治療は、まず手術でできるだけがんを取り除き、多くの場合、手術の後に薬物療法を行います[1]
卵巣がんのステージ(進行期)とは
ステージは、がんの進行の程度を示す分類です。ステージ1からステージ4(Ⅰ期〜Ⅳ期)へと数字が大きくなるほど、より進行したがんであることを示します[1]。卵巣がん・卵管がん・腹膜がんでは、3つに共通の「進行期分類」でステージを分類します[1]。
卵巣がんのステージには、ほかの多くのがんと違う点があります。それは、ステージが手術の後に分かるということです。卵巣や卵管、腹膜はおなかの奥深いところにあるため、手術で切除した卵巣や卵管などを調べないと、がんの広がりを正確に評価できないからです[1]。
手術の前に病状の説明を受けている場合も、手術の後に分かった正式なステージを、改めて主治医に確かめておくと安心です。
ステージ1〜4の分類

がん情報サービスでは、卵巣がん・卵管がん・腹膜がんのステージを次のように説明しています(主な内容を短くまとめています)[1]。
| ステージ | がんの広がり |
| ステージ1 | がんが卵巣あるいは卵管の中にとどまっている。片側の卵巣・卵管だけなら 1A、両側なら 1B。被膜(卵巣の表面をおおう膜)が破れている、またはおなかの中の水(腹水)にがん細胞があるなどの場合は 1C |
| ステージ2 | がんが卵巣・卵管にあり、さらに骨盤の中の臓器に広がっている。子宮や反対側の卵巣・卵管までなら 2A、直腸・膀胱・腟など、それ以外の骨盤の臓器まで広がると 2B |
| ステージ3 | がんが腹膜に散らばって広がっている(腹膜播種)か、後腹膜リンパ節(おなかの奥の背中に近いリンパ節)に転移している |
| ステージ4 | おなかの中(腹腔内)への転移以外の遠隔転移がある。胸の中の水(胸水)にがん細胞がある場合は 4A、肝臓や脾臓の中への転移や、おなかの外の臓器・リンパ節への転移がある場合は 4B |
ステージ1は「卵巣・卵管の中」、ステージ2は「骨盤の中」、ステージ3は「おなかの中(腹膜)とリンパ節」、ステージ4は「おなかの外」と、がんが広がった範囲で分かれていると考えると分かりやすいでしょう。
ステージ3の卵巣がんとは(ステージ3A・3B・3C)
卵巣がん・卵管がん・腹膜がんは、進行した状態で見つかることが多いがんです[1]。ステージ3は、がんの広がり方や、おなかの中に広がったがんの大きさによって、さらに細かく分かれます[1]。
| 区分 | 主な状態 |
| ステージ3A1 | 後腹膜リンパ節にだけ転移がある(転移したがんが 1cm 以下か、1cm を超えるかで、さらに2つに分かれる) |
| ステージ3A2 | 目には見えない、顕微鏡で分かるくらいのがんがおなかの中に広がっている |
| ステージ3B | おなかの中に広がったがんの大きさが 2cm 以下 |
| ステージ3C | おなかの中に広がったがんの大きさが 2cm を超える(肝臓や脾臓の表面にだけ広がっている場合を含む) |
3A1・3A2・3B・3C の順に、おなかの中への広がりが大きくなります[1]。同じステージ3でも、どの区分に当たるかや、手術でがんをどこまで取りきれたかによって、その後の治療や予後(病気の経過の見通し)は変わります[1]。
ステージ別の5年生存率
国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院などで初めての治療を受けた人の生存率を、ステージ別に公表しています(院内がん登録生存率集計)[2][3]。2015年に卵巣がんと診断された人の5年生存率は次のとおりです。
| ステージ | 5年生存率 | 対象数 |
| ステージ1 | 88.7% | 2,479人 |
| ステージ2 | 74.3% | 461人 |
| ステージ3 | 45.7% | 1,490人 |
| ステージ4 | 28.5% | 639人 |
| 全体(ステージ不明などを含む) | 63.8% | 5,227人 |
(2015年診断、実測生存率、全年齢・手術の有無を問わない全体[2])
ステージ3・4の人は合わせて2,129人で、全体(5,227人)の約4割です[2]。進行した状態で見つかることが多いという説明と重なります[1]。
「ステージ3の余命」を調べている方も多いと思います。ただし、生存率は「診断から一定の年数がたった時点で生存している人の割合」で、一人ひとりの余命を示すものではありません。この数字を見るときは、次の3点に気をつけてください。
- 実測生存率は、死因に関係なく、がん以外の病気などで亡くなった人も含めて数えた値です[3]
- 2015年に診断された人の結果です。治療の進歩などにより、近年の状況や、これから治療を受ける方には当てはまらない可能性があります[3]
- ここでのステージは、国際分類(UICC)にもとづく値です。病院でふだん使われている取扱い規約のステージとは、少し異なる部分があります[3]。年齢、体の状態、がんの組織型、手術でがんを取りきれたかによっても、一人ひとりの経過は違います[1]
卵巣がんの治療の流れ
治療法は、ステージや組織型(がん細胞のタイプ)、異型度(悪性度の高さ)、遺伝子の変異に応じた標準治療を基本に、本人の希望や体の状態を総合的に検討して、主治医と話し合って決めていきます[1]。
まず手術で、できるだけがんを取り除く
卵巣がんが疑われる場合は、まず手術を行い、ステージや組織型を診断するとともに、できるだけがんを取り除きます[1]。両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除することが多く、おなかの中にがんが広がっている場合は、目に見えるがんをできる限り切除します[1]。
卵巣がんでは、手術でがんが取りきれたかどうかが、予後に影響します。残っているがんが小さいほど、予後が良くなるとされています[1]。
手術の後は、多くの場合に薬物療法
多くの場合、手術の後に薬物療法を行います[1]。細胞障害性抗がん薬を使う治療(化学療法)が基本で、主にパクリタキセルとカルボプラチンを使う TC 療法が行われます[1]。ステージ3・4では、分子標的薬のベバシズマブを加えることを検討します[1]。
取りきるのが難しいときは、手術の前に薬物療法
がんが進行していて、最初の手術で取りきるのが難しいと考えられる場合は、手術の前に薬物療法(術前化学療法)を行い、がんを小さくしてから、できる限り切除する手術(インターバル腫瘍減量術)を行うことがあります[1]。
ステージ3・4では「維持療法」を行うことも
ステージ3・4で、最初の手術と薬物療法が終わったあと、がんが見えなくなったか小さくなっている場合に、再発や増大を防ぐ目的で、分子標的薬を使う「維持療法」を行うことがあります[1]。薬を選ぶために、BRCA1・BRCA2 遺伝子の変異などを調べる検査(HRD 検査)を行うことがあります[1]。
放射線治療・妊娠の希望について
放射線治療は、照射する範囲に腸や肝臓、腎臓が含まれるため、最初に行う治療としては勧められていません。再発したときに、痛みなどの症状を和らげる目的で行うことがあります[1]。
将来子どもをもつことを希望している場合は、妊娠するための臓器や機能を残せるか(妊孕性温存)を、治療を始める前に主治医に相談しましょう。妊孕性温存手術を検討できるのは、ステージ1の一部(がんの組織型と、片側の卵巣にとどまっているかなどの条件がある)に限られます[1]。
主治医に確認しておきたいこと
治療を決める前や、手術のあとに説明を受けるときに、次のことを確かめておくと、説明を整理しやすくなります。
- 手術の後に分かった正式なステージと、3A・3B・3C などの細かい区分
- 手術でがんをどこまで取りきれたか(目に見えるがんが残っているか)
- がんの組織型と異型度、遺伝子の検査(BRCA 遺伝子・HRD 検査)を受けるか
- 手術の後の薬物療法の目的・期間と、主な副作用
- 維持療法の対象になるか
- 妊娠の希望がある場合、妊孕性を残す方法があるか
- 再発の可能性と、検査を受ける間隔
ほかの医師の意見も聞いてから決めたいときは、セカンドオピニオンを利用できます。詳しくはセカンドオピニオンとは?をご覧ください。
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保険が適用されない自由診療で、費用は全額自己負担です。治療の対象になるか、期待できることやリスクは、提携医療機関の医師にご確認ください。
- 治療費の目安:治療費を見る
- 資料請求・ご相談:資料請求・お問い合わせ(無料) / お電話 0120-350-552(受付 月〜土 9:00〜20:00/日曜・祝日休み)
まとめ
卵巣がんのステージは、手術で切除した組織を調べてから分かり、がんが広がった範囲で1〜4に分かれます。進行した状態で見つかることが多いがんですが、治療はまず手術でできるだけがんを取り除き、そのあと薬物療法を行うのが基本です。生存率は一つの目安として受け止め、ご自身のステージと治療の選択肢は、主治医と一緒に確かめてください。
この記事について
この記事は、株式会社同仁がん免疫研究所が、国立がん研究センターなど公的機関・学会の資料をもとに作成しています。当社は医療機関ではありません。病状や治療の判断は、必ず主治医にご相談ください。
記事内の数字は、出典に記載した時点・対象の統計です。
公開日:2026年10月27日 / 最終更新:2026年10月27日
出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん・腹膜がん 治療」(更新・確認日 2026年3月17日。表1「卵巣がん・卵管がん・腹膜がんのステージ(進行期)分類」は日本産科婦人科学会・日本病理学会編『卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 臨床編 第1版補訂版』より作成されたもの) https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html
- 国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」結果閲覧システム 卵巣がん 2015年診断・5年実測生存率(女性・全年齢・手術の有無は全体、2026年10月21日閲覧) https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2015&elapsed=5&type=c25
- 国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率集計」トップページ(更新・確認日 2026年8月20日)と「院内がん登録生存率集計結果閲覧システムの見方」(実測生存率・総合病期の説明) https://hbcr-survival.ganjoho.jp/ ・ https://hbcr-survival.ganjoho.jp/assets/system/systemperspective.pdf