がん免疫療法コラム

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抗体の利用と抗体医薬品 【新たな抗体医薬品】 《Part.4》  

新しい抗体医薬品の開発の方向性には大きく2あります。1つは標的となる新しい抗原を見つける方向性と、もう1つは抗体を改良するなど抗体自身を変化させる方向性です。今回は、後者の抗体を改良して新たな抗体医薬品を創出する方向性について見て行きたいと思います。特に効果を増強させることを目的とした抗体医薬品についてご紹介します。

■効果の増強と新たな抗体医薬品

「抗体医療品」の効果は、前回ご説明したとおり①中和作用②ADCCおよびCDCの誘導が基本ですが、その他にも、これらの作用をさらに効果的に利用することを目的とした「抗体医薬品」が開発されています。

□抗体薬物複合体

抗体薬物複合体(以下、ADC)とは細胞障害性を持つ薬物を「抗体」に結合させ、標的とする「がん」まで薬物を運ばせる「抗体」のことを言います。
「抗体」に「オゾガマイシン」などの細胞毒性の強い抗生物質を付加した薬剤や放射性同位元素を付加した薬剤があります(表1)。
Vol.19で紹介した光免疫療法では「抗体」に「IR700」という物質を付加しています。

□バイスペシフィック抗体

「抗体」は基本的にY字型をしており、そのY字の上位部分に「抗原」が結合します。しかし、「バイスペシフィック抗体」と呼ばれる「抗体」は、各々の結合部が異なる「抗原」と同時に結合できるのです。これにより1つの「抗体」が2つの「抗原」に対して同時に作用することが可能となります。

例えば、昨年承認された「ブリナツモマブ」(表1)では、一方は「T細胞」と結合し、もう一方は「がん細胞」と結合して架橋を作ります。そして、「抗体」が「T細胞」を活性化することによって「がん細胞」を攻撃します(図1)。
なお、「ブリナツモマブ」はY字上位部分にある「抗原」との結合部(可変領域)をつなぎ合わせて作られているため、Y字の根本の部分(定常領域)はありません。

バイスペシフィック抗体(モガリムズマブ)の図

図1 バイスペシフィック抗体(モガリムズマブ)

□エフェクター機能誘導活性の制御

「抗体」にあるADCC/CDCを誘導する部位と免疫細胞との結合を強化することによって、ADCC/CDCによる効果の増強が試みられています。ADCC活性を増強した薬剤としては、前回の表1でお示しした抗CCR4抗体である「モガムリズマブ」や抗CD20抗体である「オビヌツズマブ」があります。また、キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法)もこれに該当します。

 

表1 悪性腫瘍に対する主な新しい抗体医薬品

悪性腫瘍に対する主な新しい抗体医薬品の表

 

以上、効果の増強を狙った「新しい抗体医薬品」について見て来ました。その他にも「抗体」の一部を改変して「抗体医薬品」の活性を向上させるなどの新しい技術や、「抗体」を低分子化したり、何度も繰り返し抗原と結合できる「抗体」の研究を通して利便性や効率の向上を目指した技術が生み出されるなど、さらなる進歩を遂げています。
「抗体医薬品」には標的となる分子の枯渇など課題もありますが、これらの技術の進歩による「新たな抗体医薬品」の創出に期待が寄せられています。

 

参考文献

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