がん免疫療法コラム

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抗体の利用と抗体医薬品 【がん治療における抗体医薬品】 《Part.3》  Vol.49

前回までは「抗体」の産生や作用といった基礎的な知識についてお伝えしましたが、今回は具体的に「抗体」がどのように「抗体医薬品」に利用されているのかについて見て行きたいと思います。「抗体医薬品」は自己免疫疾患や糖尿病など様々な疾患に対して利用されていますが、その中でも「がん」を適応症とした「抗体医薬品」を取り上げます。

 

■がん治療おける抗体医薬品の意義

「がん」の種類ごとに正常細胞にはない、または発現している数が少ない「抗原」があります。この「抗原」を標的にすれば「がん細胞」だけを攻撃できるため、副作用を減らすことができます。また、「抗体」の一部を変えることによりその効果を高めたり、「抗体」に他の薬剤をくっ付けて作用を加えることもできます。従来の抗がん剤の多くは強い副作用を伴うこと、また様々な薬剤を複数組み合わせて治療が行われることを考慮すると、このような「抗体」の優れた特性は、特にがん治療には適していると言えます。

 

■薬効と薬剤の種類

◆中和作用(リガンド/受容体の結合阻害)

図1に示すように、「抗体」には「抗原」と結合する部位が存在し、がん細胞と増殖因子(リガンド)の結合を妨害することが主な作用です。抗VEGF抗体はリガンドであるVEGF(血管内皮増殖因子)に結合し、抗EGFR抗体や抗VEGFR抗体は受容体であるEGFR(上皮増殖因子受容体)およびVEGFR(血管内皮増殖因子受容体)に結合して効果を発揮します(表1)。
これらの薬剤は、いずれもがん組織への血管新生を妨げる作用を薬効としています。

図1 抗体の作用と結合部位

◆抗体依存性細胞傷害(ADCC)/補体依存性細胞傷害(CDC)

「抗体」が「抗原」と結合した後、図1に示す箇所にNK細胞などの免疫細胞が結合した場合には抗体依存性細胞傷害(以下、ADCC)が、「補体」が結合した場合には補体依存性細胞傷害(以下、CDC)がそれぞれ誘導されます。「トラスツズマブ」が代表例であり、HER2という受容体に結合し、細胞増殖のシグナルをブロックするとともに、NK細胞、単球やマクロファージを作用細胞としたADCC活性を誘導します(表1)。抗CCR4抗体の「モガリムズマブ」については、成人T細胞白血病リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫に適応を取得している旨、Vol.34 の「制御性T細胞を抑制する薬剤」で紹介しました。

 

表1 悪性腫瘍に対する主な抗体医薬品


上記の抗体医薬品に加え、現在では新しい抗体医薬品も創出されています。次回は新しい抗体医薬品を紹介しながら、抗体医薬品が目指している方向性について見て行きたいと思います。

 

参考文献

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