がん免疫療法コラム

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診断テストにおける陽性的中率と有病率 Vol.24

前回は「感度」と「特異度」をテーマにしましたが、今回と次回は「確定診断に用いる診断テストとはどういったものか」をテーマにしたいと思います。そこで、今回はその中心的な要素である「陽性的中率」と「有病率」が確定診断とどのような関りがあるのかについて見ていきます。

◆陽性的中率の算出方法

「陽性的中率」とは、ある病気のための診断検査で陽性と診断された人の中で、実際にその病気にかかっている人の割合のことを言います。陽性的中率が高い検査とは、それだけ信頼のおける検査ということになります。有病率とは、ある集団の中である病気にかかっている人の割合のことです。まずは、「陽性的中率」の値の算出方法を以下に示します。表1を参考にしてください。

※陽性的中率=(結果が陽性の人の内、病気かかって「いる」人)/(結果が陽性の人)=A/A+B

 

表1 陽性的中率を求める

◆陽性的中率の実例

今度は「大腸がん」を例にとって、実際の値を用いて計算してみましょう。
大腸がん患者の有病率を10万人中30人(国立がん研究センター がん情報サービス:55-59歳男性の値を使用)として、感度0.99、特異度0.89(miRNAを用いたリキッドバイオプシーで得られた結果を使用:前回の表1に表示)で陽性的中率を計算しました。計算しやすくするために、全体の人数を100万人としました。その結果を表2に示しています。

 

表2 大腸がん患者の陽性的中率を求める

陽性的中率は0.27%という値になりました。先ほど、この値が高いほど信頼のおける検査と言いましたが、これはどう解釈すれば良いのでしょうか?
大腸がんの検査として行われる便潜血検査では、受診者の約7%が「要精密検査」と判定されますが、実際に大腸がんと診断されるのはその内の0.1~0.2%程度と言われています。上記で算出された陽性的中率は、これにほぼ符合しています。

しかし、ここで考えるべきは、検査が健診に使えるレベルかどうかではなく、確定診断に用いることのできるレベルかどうかということです。これでは無理ではないかと思われ方が多いというか、ほとんどの方が思われたかも知れません。でも、待って下さい。検査自体の感度は高く、特異度も決して低いとは言えないレベルだと思いませんか?こうなると確定診断に用いるような検査は存在しないのではないかと思えてしまいます。
陽性的中率を上げる方法はないのでしょうか?そこでもう一度、陽性的中率の算出式を見てみましょう。

陽性的中率=(結果が陽性の人の内、がんかかって「いる」人)/(結果が陽性の人)=A/A+B

この式を見ると、陽性的中率を大きくするためには、分子「A」を大きくするか、分母「A+B」を小さくするか、または両方を併用するかのいずれかであることが分かります。しかし、感度は0.99と大きい値なので、分子「A」をこれ以上大きくする余地はなさそうです。そうなると、分母の「A+B」を小さくできないかという話になります。ここで「B」とは“がんにかかって「いない」が、結果は陽性”という、いわゆる「偽陽性」の人数を示しています。「偽陽性」は少ない方が良いため、何とか「B」を小さくすることを考える必要がありそうです。そしてまた、その余地がありそうです。

次回は、この「B」についてもう少し深く見て行きましょう。そして、確定診断に用いる検査の条件について考えてみたいと思います。

 

参考文献

  1. 国立がん研究センター がん情報サービス, http://gdb.ganjoho.jp/graph_db/gdb1?smTypes=67
  2. President On Line, 健診で受けるべき検査、必要性が薄い検査, https://president.jp/articles/-/23462?page=2
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