がん免疫療法コラム

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テロメアと寿命、がんの関係

老化によってがんに対する免疫力も低下する

老化は、運動能力の低下や認知機能の低下など、目にみえる状態の変化をイメージされますが、免疫機能についても低下していきます。老化は、細胞レベルでみると細胞分裂のスピードが低下もしくは停止している状態であり、免疫細胞の増殖も低下します。老化によって免疫細胞が減少したり、機能が低下したりするとがん細胞の増殖を抑制することも難しくなります。そのため、高齢になるとがんの発生率が上昇するのは、老化による免疫機能の低下が原因の一つと考えることもできます。細胞が老化する要因としてテロメアがあります。

テロメアががんと寿命に関係する

DNAの先端にはテロメアというものが存在します。テロメアは、DNAの先端を守るキャップのような役割を果たしており、細胞が正常に分裂するためにもテロメアの存在は重要です。しかし、細胞分裂の回数が増えるたびにテロメアは短くなり、最終的に細胞が分裂できなくなります。テロメアが短くなって細胞分裂ができなくなった状態が「細胞老化」です。

人間の体には、細胞が正常に増殖するためにテロメアを伸ばす「テロメラーゼ」という酵素が存在します。テロメアを伸ばすことで細胞老化を遅らせることができますが、がん細胞内ではテロメラーゼが活性化されており、無限に増殖できる状態になっています。

テロメアを伸ばすことで老化を遅らせたり、寿命を伸ばしたりすることが可能と考えられていますが、がん細胞を増殖させてしまうリスクにも注意が必要です。

テロメラーゼを標的としたがん治療の開発

現在、テロメラーゼの一種である「テロメラーゼ逆転写酵素」が、がん細胞内で活性化されることで、がん細胞の増殖を阻害する異常を修復する働きが確認されています。テロメラーゼ逆転写酵素の修復機能を標的としたがん治療法が模索されています。

がん細胞内に存在するテロメラーゼのみを標的とした薬剤を開発することで、通常の抗がん剤では効果が薄かったがんにも治療効果が期待できるかもしれません。

がんと老化研究が、がん免疫療法を進展させる

テロメラーゼを標的としたがん治療が研究されていますが、細胞の老化にもテロメラーゼが関連しています。テロメアに関する研究が進むことで免疫細胞の老化を遅らせ、免疫機能を正常化もできる可能性もあります。がんと老化に関するメカニズムが解明されることで、がん免疫療法の可能性も広がることが考えられます。

 

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