がん免疫療法コラム

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Vol.157 がん免疫_固形がんCAR-T#2

前回に続いて、近年開発スピードが加速している固形がんに対するCAR-T療法について述べていきます。

前回述べたサイトカインとケモカインを発現するCAR-T以外にも、他のアプローチをしている企業もあります。

 

他家CAR-Tという新たな方法

その1つに「他家CAR-T」があります。通常CAR-T細胞は患者さん自身の細胞を取り出して作製します。これを「自家CAR-T」と呼びます。一方、他の人、ここでは特にiPS細胞を介してCAR-T細胞を作製しておくことを「他家CAR-T」と呼びます。自家CAR-Tでは、患者さんから細胞を取り出してから作製して投与するまでに数週間かかりますが、他家CAR-Tのメリットとして、作り置きができるので必要時にすぐに使うことができるという点があります。また個別に作製しないので、コストを削減できる可能性があります。

日本企業が開発権を取得した他家CAR-T「NKR-2」は、固形がんおよび血液がんの大部分のがん細胞に発現する8 種類のリガンドに結合でき、固形がんに対する効果も期待されています、また 、NKG2D リガンドを発現するがん組織内の血管もターゲットにしたり、さらに、Tリンパ球を攻撃し、がん免疫抑制状態を解除させたりなど様々な効果が期待されています。

 

海外でも開発は進んでいます。米国からは多くの固形がんで発現するメソテリンをターゲットとしたCAR-T療法の臨床試験結果が報告されています。悪性胸膜中皮腫患者や肺がん、乳がんの患者さんに対して胸膜内に直接投与を行い、効果があったことが示されています。

さらに中国からもClaudin18.2をターゲットとするCAR-T療法の臨床試験結果が報告されており、胃がんと膵がんの患者さんに投与し、一定の効果が得られたことが示されました。

 

固形がんに対するCAR-T療法については、まだ実用化に至るまでにはいくつか超えるべき壁があるものの、着実に研究は進展しており、いずれ治療の大きな柱になっていくことが期待されます。

一方で、CAR-T療法にはサイトカイン放出症候群や神経系事象など特有の副作用があり、それらの管理に熟知していくことが今後多くの医師に求められることになるかと思います。

 

[参考資料]

Lonez C et al., Study protocol for THINK: a multinational open-label phase I study to assess the safety and clinical activity of multiple administrations of NKR-2 in patients with different metastatic tumour types. BMJ Open. 2017 Nov 12;7(11):e017075.

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