がん免疫療法コラム

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Vol.150 がん免疫_iPS-NKT#2

 前回に続いてNKT細胞についてです。

 

iPS-NKT細胞の品質

iPS細胞技術を用いて大量生産できるようになったNKT細胞を用いてがん治療を行うにあたり、いくつか解決すべき問題がありました。

1つは、治験に利用可能な基準を満たすマスターセルバンクの樹立です。健常ボランティアドナーから採血し、まず感染症を持っていないかどうかを確認しました。そして安全が確認されたものからNKT細胞の培養を行い、十分に増殖が得られたNKT細胞からiPS細胞の作製を行いました。そして作製したiPS細胞から再びNKT細胞への分化能を検定し、最も適切と判断されたiPS細胞株を使用してマスターセルバンクの樹立を行いました。

またiPS細胞由来の組織・細胞を用いた再生医療を行う場合、「がん化」が常に懸念される事項になりますが、iPS-NKT細胞では、乾寒天コロニー試験あるいは免疫不全マウスへの移植実験によって、腫瘍形成されないことが確認されました。

こうして安全性が確認されたiPS-NKT細胞は、ヒト頭頸部がん細胞株を植えつけたマウスに投与した結果、がんのサイズが抑制されることがわかりました。つまりがんに対する効果も認めたと考えられました。

 

iPS-NKT細胞を臨床応用へ

これらの結果を受けて、現在、標準的な治療では制御できない頭頸部扁平上皮癌の患者さんに対してiPS-NKT細胞をがんを栄養する静脈に投与する医師主導治験が行われています。いまだかつてiPS-NKT細胞がヒトの血管内に直接投与されたことはないため、まず本試験ではiPS-NKT細胞の安全性や有効性を評価することを目的としています。

いくらでも増やすことのできるiPS-NKT細胞を用いることによって、かつては困難であったNKT細胞を複数回投与することが可能となっており、その試験結果が期待されています。

今回の試験でiPS-NKT細胞の安全性が確認できれば、前回述べたαGal-Cerをパルスした抗原提示細胞との併用を検討しているそうです。また頭頚部がんのみならず、肺がんや白血病患者さんに対しても有効性を検討する計画もあるとのことです。

 

[参考資料]

Kawano T et al. Antitumor cytotoxicity mediated by ligand-activated human V alpha24 NKT cells. Cancer Res. 1999 Oct 15;59(20):5102-5.

Aoki T et al. Activated invariant natural killer T cells directly recognize leukemia cells in a CD1d-independent manner. Cancer Sci. 2020 Jul;111(7):2223-2233.

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