がん免疫療法コラム

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Vol.148 がん免疫_がんワクチン療法#3

前回の「ぺプチドワクチン」に続いて、今回は「樹状細胞ワクチン」について解説します。

樹状細胞ワクチン

樹状細胞とは、抗原を提示する能力がとても高い抗原提示細胞で、「兵隊」である細胞傷害性T細胞ががん細胞をターゲットとして認識することに深く関わっています。樹状細胞は成熟化しているほうがより効率的に細胞傷害性T細胞に抗原の情報を伝えられることが分かっています。しかし、ぺプチドワクチンでは、投与されたぺプチドが作用する生体内の樹状細胞は未熟であることが多く、十分に細胞傷害性T細胞を誘導できない可能性があります。したがって、ぺプチドワクチンでは樹状細胞を成熟化させるワクチンアジュバントを併用する必要があります。

一方、樹状細胞ワクチンでは、患者さんから採取した血液を、サイトカインとともに培養することで、樹状細胞に誘導させます。そして、あらかじめ試験管の中でワクチンアジュバントをふりかけて十分樹状細胞を成熟化させます。さらに、がん抗原も振りかけることで、より効率的に細胞傷害性T細胞を刺激する樹状細胞ワクチンをたくさん作ることができます。

膵臓がんにおいて臨床試験が進行中

このような樹状細胞ワクチンを用いた国内の臨床試験をご紹介します。最初の化学療法が効果なかったあるいは効果が乏しくなった膵臓癌の患者さんを対象として、抗がん剤であるS-1とWT-1ぺプチドパルス樹状細胞ワクチンを併用した二重盲検ランダム化比較医師主導治験が開始されています。この試験では、樹状細胞ワクチン作製のために、あらかじめ血液を採取し、樹状細胞を培養して、WT-1ぺプチドを振りかけます。この樹状細胞ワクチンを実際に使用するまで凍結保存しておきます。そして最初の治療の効果がなくなった時点で溶解し、患者さんに2週間ごとに注射します。この臨床試験はまだ現在進行形ですので、今後の結果公表が待ち望まれています。

ご紹介したぺプチドワクチンや樹状細胞ワクチンのほかに「腫瘍細胞ワクチン」もあります、これは増殖能をコントロールしたがん細胞をそのまま投与する方法です。特定のがん抗原を同定する必要がない簡便性があります。膵臓癌や前立腺癌で研究開発が進められています。

日本ではまだがんワクチン療法の保険承認には至っていませんが、再生医療製品の開発に関する法律や体制の準備が整ってきているので、今後多くの臨床試験が行われ、保険承認される日も遠くはないと考えられています。

 

[参考資料]

Iwahashi M et al., Vaccination with peptides derived from cancer-testis antigens in combination with CpG-7909 elicits strong specific CD8+ T cell response in patients with metastatic esophageal squamous cell carcinoma. Cancer Sci. 2010 Dec;101(12):2510-7.

Katsuda M et al., Comparison of different classes of CpG-ODN in augmenting the generation of human epitope peptide-specific CTLs. Int J Oncol

. 2011 Nov;39(5):1295-302.

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