がん免疫療法コラム

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Vol.141 がん免疫_光免疫療法#2

前回に引き続いて光免疫療法について述べます。今回は、臨床応用の現状について概説します。

 

高い腫瘍制御率

この技術を用いた臨床試験を行うにあたって、最初に選ばれたのは再発頭頚部扁平上皮がんでした。このがんの約90%はEGFRというがん細胞に発現している特定の目印(抗原)を発現していて、さらに体の表面近くにあるためレーザー光の照射が行いやすいという2点を考慮して選択されました。実際には、薬剤を注射した翌日にレーザー光で照射をします。病変が体の奥にあって、表面からの照射が難しい場合には、針を腫瘍に刺して照射が行われました。

米国で実施された第I相臨床試験の結果は2017年に発表され、手術・化学療法・放射線療法といった、従来の治療が困難な患者さんを対象に行われ、奏効率は75%、腫瘍制御率は100%と高い効果が見られました。口腔内の痛みや腫瘍からの出血といった副作用がありましたが、十分実施可能と判断されました。

この結果を踏まえ、同様の患者さんを対象とした第II相臨床試験が行われ、その結果は2018年に発表されました。腫瘍制御率はやはり82.8%と高率であり、全生存期間中央値は9.1か月でした。この時も痛みや腫瘍からの出血といった副作用はありましたが、概ね実施可能な治療と考えられました。

 

国内でも進む臨床試験

国内においても、2018年より第I相臨床試験が行われ、安全性が確認されたことより、日本も含めた世界各国で国際第III相臨床試験が行われています。その有効性から、2018年には米国FDAからは優先承認審査制度に指定され、日本でも2020年に条件付き早期承認制度が適応され、実臨床での使用に向けて前進しています。国内企業が精力的に推進しており、全国40施設で提供が可能な体制を整え、本治療を実施することができる治療医も97名まで増えています。

 

今回は、世界および日本のおいて行われた頭頚部扁平上皮癌に対する臨床試験について概説しました。次回は光免疫療法のさらなる可能性について説明する予定です。

 

[参考資料]

Kochuparambil S et al., A phase l multicenter, open-label dose-escalation, combination study of RM-1929 and photoimmunotherapy in patients with recurrent head and neck cancer. Ann Oncol. 2017;28(Suppl 5): abstr1051PD

Gillenwater AM et al. RM-1929 photo-immunotherapy in patients with recurrent head and neck cancer:Results of a multicenter phase 2a open-label clinical trial. J CIin OncoL 2018; 36 (15 Suppl): abstr6039.

Tahara M et al., Phase l study of RM-1929 photoimmunotherapy in Japanese patients with recurrent head and neck squamous cell carcinoma.Ann Oncol.2019;30  (Suppl.6): abstr O1-2-1.

 

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