がん免疫療法コラム
ネオアンチゲンとは?ネオアンチゲンとがん免疫療法との関係
ネオアンチゲンとは?
ネオアンチゲン(neoantigen)とは「がん細胞のみに存在し、がん細胞の遺伝子変異によって新たに産生される抗原」です。また、「各個人のがん細胞で異なるネオアンチゲンが産生される」という特徴があるため、がん免疫療法の個別化医療を実現するためにネオアンチゲンを用いた治療法に関する研究開発が進んでいます。
最近は、がん細胞の遺伝子変異量(TMB: Tumor Mutation Burden)とネオアンチゲンの産生に正の相関がある可能性が高いことが分かってきました。さらに、TMBが増加している腫瘍に対しては免疫チェックポイント阻害剤が効きやすいということも分かっています。
つまり、TMBを指標として免疫チェックポイント阻害剤が有効か予測ができ、さらにネオアンチゲンを標的とした治療が可能か推測することができます。
ネオアンチゲンを用いたがん免疫療法
がん細胞に特異的に存在するペプチドであるネオアンチゲンは、現在がんワクチンの標的として用いられています。また、先ほどの話のように、ネオアンチゲンが多く存在する腫瘍に対しては免疫チェックポイント阻害剤が有効である可能性が高いと考えられています。
両者を併用することで、ネオアンチゲンを標的とするがんワクチンは免疫チェックポイント阻害剤の効果を高める役割を期待されています。
以前に少し紹介しましたが、ネオアンチゲンを標的とするがんワクチンは世界中で臨床試験が行われています。その中で、一部のTMBが増加している腫瘍に対してネオアンチゲンを標的とするがんワクチンを用いることの有用性を示す結果が得られています。さらに、ネオアンチゲンを標的とするがんワクチンはがんの予防にも使用できる可能性があります。
以上のように、ネオアンチゲンを用いたがん免疫療法には多くの可能性が秘められており、実際に有用性が認められている治療法も出てきました。今後のさらなる研究開発によって、ネオアンチゲンを標的とするがんワクチンがより有効ながん免疫療法のひとつになるかもしれません。
[参考資料]