がん免疫療法コラム
PD-1だけではない?LAG-3・TIGIT・TIM-3という次世代チェックポイント

PD-1阻害だけでは免疫抑制を解除できないことも
現在、承認されている免疫チェックポイント阻害薬としてPD-1・PD-L1阻害薬があります。従来のがん治療では、治療できなかったがん種にも効果を発揮して注目を浴びていましたが、全ての患者に効果があるわけではありません。この弱点を克服するためにLAG-3、TIGIT、TIM-3などを標的とした治療法の研究が進んでいます。T細胞は、がん細胞を異物として認識し、攻撃する役割を持つ免疫細胞です。しかし、がん組織の中で刺激を受け続けると、次第に働きが低下した「疲弊」と呼ばれる状態になります。
疲弊したT細胞では、PD-1だけでなくLAG-3、TIGIT、TIM-3といった複数の抑制性受容体が同時に発現することがあります。そのため、PD-1を一つ阻害するだけでは免疫抑制を十分に解除できず、別の経路がブレーキとして残る可能性があります。
実用化が先行するLAG-3
LAG-3は、活性化したT細胞や制御性T細胞などに発現する免疫チェックポイントです。主要組織適合遺伝子複合体クラスIIなどと結合し、T細胞の増殖やサイトカイン産生を抑える方向に働きます。PD-1と同時に発現することも多く、治療抵抗性に関係する標的として研究されています。
一方で、LAG-3の働きは単純な一つの経路では説明できません。結合する分子や細胞内シグナルには未解明の部分もあり、効果を予測するバイオマーカーの確立が課題です。
TIGITは免疫のバランスを変える
TIGITはT細胞やナチュラルキラー細胞などに発現し、主にCD155やCD112と結合します。これらの分子は、免疫を活性化するCD226とも結合するため、TIGITとCD226はブレーキとアクセルのような関係にあります。
がん組織でTIGITの働きが強まると、T細胞だけでなく、がん細胞を直接攻撃するナチュラルキラー細胞の機能も低下する可能性があります。このため、TIGIT阻害薬とPD-1・PD-L1阻害薬を併用する臨床試験が、肺がんをはじめとする複数のがんで行われています。
TIM-3が示す次世代治療の可能性
TIM-3はT細胞のほか、樹状細胞やマクロファージなどにも発現します。ガレクチン9やCEACAM1など複数の分子と相互作用し、免疫応答を調整します。疲弊したT細胞ではPD-1とTIM-3が同時に発現することがあり、PD-1阻害薬への抵抗性に関わる経路として注目されています。
LAG-3、TIGIT、TIM-3を標的とする治療は、PD-1阻害薬の効果を補い、治療抵抗性を乗り越える可能性を持っています。一方、免疫を強く活性化すると免疫関連有害事象が増える恐れもあります。
これらの新しい免疫チェックポイント阻害薬の研究が進むことで、有害事象のリスクも減り、治療の選択肢が広がる可能性もあります。
参考URL
Advances in LAG3 cancer immunotherapeutics