がん免疫療法コラム
免疫チェックポイント阻害薬は高齢者にどこまで適応できるのか ― フレイル評価と多職種介入が鍵

高齢者でも免疫療法を受けられる
免疫チェックポイント阻害薬(ICI:抗PD-1/PD-L1、抗CTLA-4など)は、がん細胞に対する免疫にブレーキをかけられている状態を治療する薬です。臨床試験では高齢者が少なく、年齢だけで安全性や効果を判断しにくい課題があります。多くの研究では、ICIの生存利益は概ね年齢に左右されにくい一方、実臨床では高齢ほど免疫関連副作用(irAE)や治療中断が多い可能性が示唆されています。
年齢よりもフレイルの有無が重要
フレイルは、筋力・体力・栄養・認知・気分・社会的支援などが複合的に弱り、治療の負担に耐えにくくなる状態です。見た目の元気さだけでは分かりません。CGA(包括的高齢者機能評価)では、歩行や転倒歴、日常生活動作(買い物・入浴など)、体重減少、認知、うつ、服薬数、支援体制といった“生活の土台”をチェックします。国際的には、治療前にCGAでフレイルを把握し、介入することが推奨されています。体力の指標が低いとirAEの発現頻度が上昇する傾向があるのでフレイルの有無をチェックすることが大切です。
入院リスクと治療中断の可能性
65歳以上・抗PD-1単剤、110人を対象とした試験では、55%がフレイルに分類されました。重いirAE(グレード3以上)は17.3%で、フレイル群と非フレイル群で大きな差はありませんでした。一方でフレイルは、全原因入院の増加や死亡リスク上昇と関連しました。さらに併存疾患が多いことも入院と関連していました。
試験の結果からも、フレイルの人は全生存期間が短くなり得る一方、反応率が明確に下がるとは言い切れず、むしろ副作用や体調悪化で治療を続けにくいことが課題になりやすいと考えられています。
治療継続に多職種連携が重要
治療の可否は、がんの種類・病期・併存疾患・服薬状況・生活背景まで含めた総合判断です。フレイルが疑われるときは、①栄養(特にタンパク質の重要)、②運動/リハビリ(筋力維持)、③薬剤(飲み合わせ・副作用の早期発見)、④看護・在宅支援(受診手段・見守り)を同時に整えるほどフレイルを予防できる可能性が上がります。研究でも「フレイルは禁忌ではなく、意思決定と支持療法を最適化するための重要情報」と結論づけています。
下痢、息切れ、発熱、皮疹、強いだるさ、食欲不振などいつもと違う症状はirAEのサインになり得ます。我慢せず早めに主治医・看護師へ相談し、必要なら薬剤師やリハ職、管理栄養士と連携することが治療継続のためにも必要です。
参考URL
Immunotherapy use in older adults with cancer with frailty: A young SIOG review paper
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38472009/
Impact of geriatric impairments on outcomes of single-agent immunotherapy in solid tumors
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41045448/