がん免疫療法コラム
がん治療における免疫療法の中止タイミングをどう考えるか

がん免疫療法の治療期間の見極めが重要
免疫チェックポイント阻害薬は、がん治療に新しい可能性をもたらした一方で、「いつまで治療を続けるべきか」という問題は依然として明確な答えがありません。
がんが落ち着いている場合でも投与を継続すべきなのか、それとも一定期間で中止してもよいのかは、臨床現場でも判断が難しいテーマのひとつです。
近年、免疫療法の投与期間について検討した研究とレビューが発表されており、その内容は「中止タイミング」を考えるうえで参考になります。
2年での中止は妥当なのか
米国の医学雑誌JAMA Oncologyに掲載された研究では、進行・転移性非小細胞肺がん患者1,091名を対象に、免疫療法を約2年で中止した群と、無期限に継続した群を比較しています。
注目すべき点は、2年で中止した群と継続した群の全生存率に差が認められなかったことです。中止群の2年後の生存率は79%、継続群は81%であり、統計的な有意差はありませんでした。
この結果から、病勢が安定している場合には「2年で中止する」という選択肢が臨床的に成立しうる可能性が示されています。無期限の継続が必ずしも生存率の改善につながらない点は重要です。
副作用・費用・QOLの観点
免疫療法を中止せずに継続することにも利点はありますが、同時にリスクや負担も存在します。免疫関連副作用は長期投与によって蓄積する可能性があり、症状が遅発的に出現することもあります。
また、免疫療法は高額な治療であり、患者本人・医療財源のいずれにとっても長期継続は少なくない経済的負担になります。
さらに、通院が長期化することは生活の質に影響する可能性もあります。こうした背景から、治療を継続する価値と負担のバランスを考慮し、「一定期間で中止する」という治療設計が検討されるようになりました。
今後の課題と展望
免疫療法の中止タイミングについては、がん種、治療歴、奏効の深さ、患者の背景などによって最適解が異なる可能性があります。
免疫療法の最適な継続期間を一律に定めることは困難であり、今後の研究の蓄積が待たれます。
特に、治療中止後の再発例に対する再治療(リチャレンジ)がどの程度有効で安全なのか、どのようなバイオマーカーを指標に中止判断ができるのかは、今後の重要な課題です。
2年での中止が妥当である可能性は示されたものの、それがすべての患者に当てはまるわけではありません。エビデンスに加えて、患者一人ひとりの希望、生活、リスク許容度を踏まえた総合的に判断することが重要です。
参考URL
Association Between Duration of Immunotherapy and Overall Survival in Advanced Non–Small Cell Lung Cancer
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2805798?utm_source=chatgpt.com
What is the optimal duration of immune checkpoint inhibitors in malignant tumors?