がん免疫療法コラム
がん免疫療法における服薬支援
がん免疫療法と服薬支援の重要性
がん免疫療法は、患者さん自身の免疫機能を高めてがん細胞を攻撃する治療法であり、免疫チェックポイント阻害薬を中心に臨床での利用が拡大しています。治療効果が長期にわたって続く可能性がある一方で、免疫系を活性化するという性質上、従来の抗がん剤とは異なる副作用や注意点も存在します。
医師や看護師、薬剤師などの医療専門職が服薬支援に関わる意義は大きく、治療を安全に継続していくために、患者さんの理解度、治療スケジュール、副作用の初期兆候を適切に把握する役割を担うことも必要です。特に irAE(免疫関連有害事象)は、投与後すぐには出現せず数週間から数か月後に発生する可能性があるため、継続的な観察が治療成績の向上につながります。
服薬支援による安全な治療
がん免疫療法では、治療計画通りに外来での投与を継続できるかが治療効果に直結します。患者の体調変化、通院状況、治療中断を招く恐れのある生活上の問題を早期に把握することが重要です。また、免疫療法の有害事象は多岐にわたり、皮膚、消化器、肝臓、内分泌系など全身に現れる可能性があります。症状の背景に免疫療法が関係しているかどうかを鑑別し、早期に医師が情報を把握できるように服薬支援をしていく必要があります。
さらに、がん患者が日常的に利用するサプリメントやハーブ類の中には免疫系へ影響を与えるものもあり、併用により治療効果が変動したり、有害事象を助長する可能性も指摘されています。そのため、患者さんが使用しているサプリメントや民間療法など補完代替医療を丁寧に聞き取り、適切な情報提供を行うことも重要です。
実践における注意点と支援の深め方
服薬支援の現場では、免疫療法が「副作用が少ない治療」と誤解されやすい点に注意が必要です。確かに従来の抗がん剤に比べて脱毛や吐き気などの典型的な副作用は少ないですが、その一方で免疫過剰反応による臓器障害が遅れて発現するため、患者自身が症状を軽視してしまうことも考えられます。治療初期から「いつ、どのような症状が出たら医療機関へ相談すべきか」を明確に伝えることが、安全性の確保に直結します。
また、サプリメントや健康食品の自己判断での使用、特に免疫に関連する製品は理論上治療と干渉する可能性があるため、正確な情報を伝えることも服薬支援として必要です。
がん免疫療法における服薬支援のあり方
治療導入時には、免疫療法の特徴や副作用の出現時期、症状が軽度でも早期相談が重要である理由を丁寧に説明し、患者さんが迷ったときに頼れる相談先として医師や看護師、薬剤師が連携することが重要です。
また、定期的なフォローアップでは、体調変化、日常生活での困りごと、併用薬・サプリの変化を把握し、治療継続を妨げる要因を早期に発見することが求められます。服薬支援を通じて、患者さんが「理解し、納得し、安心して治療を続けられる」環境をつくることが大切です。
参考URL
Cancer Immunotherapy: The Role of Nursing in Patient Education, Assessment, Monitoring, and Support
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12293391/?utm_source=chatgpt.com
Herbal medicinals: selected clinical considerations focusing on known or potential drug-herb interactions
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9818800/
