がん免疫療法コラム

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がん治療で栄養療法が注目されている

生存率上昇に「腸を使う」ことが重要

がんの治療中、体の栄養状態が悪化すると、治療の効果が下がり、生存率にも影響すると言われています。そのため、治療中でも「しっかり食べること」がとても大切です。しかし、抗がん剤の副作用によるものやがんの進行によって口から食べられない状況の人も少なくありません。

そんなときに注目されているのが「経腸栄養」です。これは、口や鼻からチューブを通して腸に直接栄養を届ける方法で、腸の機能がある程度保たれていれば使うことができます。腸を使うことで、栄養の吸収だけでなく、免疫力の維持や腸内環境の安定にもつながると考えられています。

一方で、点滴で栄養を補う方法(中心静脈栄養)は腸を使わないため、感染症のリスクが高まることもあります。そのため、できる限り「腸を使う」栄養療法が望ましいとされています。

 

免疫強化栄養剤でがん治療をサポート

がんの治療中は、免疫力が落ちやすく、感染症にもかかりやすくなります。そこで、特定の栄養成分を強化した「免疫強化栄養剤」が使われることがあります。

この栄養剤には、アルギニンやグルタミン(アミノ酸の一種)やオメガ3脂肪酸、核酸などが含まれており、体の炎症を抑えたり、免疫力を高めたりする働きがあるとされています。手術の前後や、体力が落ちている時期にこうした栄養剤を取り入れることで、回復を早め、治療を支える効果が期待されているのです。

とくに、消化器がん(胃がん・大腸がんなど)の患者さんでは、手術前に免疫強化栄養剤を使うことで、合併症のリスクを減らせる可能性が報告されています。

 

経腸栄養の副作用に注意

経腸栄養はメリットの多い方法ですが、副作用にも注意が必要です。よくある副作用に下痢があり、脱水や電解質異常の原因となるため対策が必要です。

副作用が出たときには無理をせず、適切に対応することが大切です。必要に応じて、経口栄養(口からの補助栄養)や点滴による栄養療法に切り替えることも検討されます。

 

がん免疫療法と並行して栄養療法を行うことが大切

近年、がん治療の中でも注目されているのが「免疫療法」です。これは、体の免疫細胞を活性化させてがんと戦わせる治療法ですが、その効果を十分に発揮するには、やはり体全体の健康状態が鍵になります。

つまり、免疫療法の効果を引き出すには、栄養状態を良好に保つことが欠かせません。栄養が不足している状態では、免疫細胞も十分に働くことができず、治療の効果も弱くなってしまうからです。

免疫療法と栄養療法は、互いに補い合う関係にあります。だからこそ、がん治療では「薬」だけでなく「栄養」も治療の一部として考えることが、今後ますます重要になると考えられます。

 

参考URL
がん患者の経腸栄養,日本静脈経腸栄養学会雑誌3(04):923-926:2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/30/4/30_923/_pdf/-char/ja

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