がん免疫療法コラム

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乾癬と免疫療法

乾癬は免疫の異常による疾患

乾癬とは、銀白色の粉(粉状の皮膚)を伴い、盛り上がった紅斑と呼ばわれる赤い発疹が全身にあらわれます。頭部や肘、膝、臀部、下腿伸側(膝から足首の範囲かつ外側)によく発生しやすく、約半数の患者でかゆみがみられます。場合によっては爪の変形や関節炎などを伴うことがあるので早期の治療が必要です。

2000年以降、乾癬の病態が解明されるようになりました。擦れるなどの刺激によって、皮膚に樹状細胞が集まり、炎症の原因となるサイトカインを過剰に産生することで乾癬が起こると考えられています。

 

irAEとしての乾癬

がん免疫療法で使われる「免疫チェックポイント阻害薬」は、がん細胞によって抑制された免疫機能を活性化させてがんを治療します。しかし、免疫チェックポイント阻害薬によって活性化された免疫機能は、健康な細胞も攻撃することがあります。免疫関連有害事象(irAE)は、重症筋無力症や1型糖尿病などの重大な疾患を引き起こすことがあり、がん治療の継続に影響するので注意が必要です。乾癬は、irAEが起こす皮膚疾患の一つであり、早めに治療することが求められます。

 

乾癬は治療できる

irAEであらわれる皮膚疾患の多くは軽症ですみますが、ときに重症化することもあって日常生活に影響することがあります。乾癬についても、重症化すると関節炎や爪の変形などもみられることもあり、がん治療の継続にも影響する可能性もあるので注意が必要です。

乾癬は、外用ステロイド剤や外用ビタミンD3剤を塗ったり、免疫抑制剤を服用することで治療できます。近年では、生物学的製剤が開発されており、炎症の原因となるサイトカインの働きを抑制して乾癬を治療します。乾癬などの皮膚疾患の治療法は、ステロイド剤による治療が中心でしたが、免疫機能に働きかける新しい治療も開発されており、治療の選択肢も増えてきました。

 

安心してがん免疫療法を受けられるようになる

がん免疫療法で使われる免疫チェックポイント阻害薬は、irAEという問題点を持っています。特に、多くみられる乾癬などの皮膚疾患は放置していると日常生活にも大きく影響する可能性があります。irAEでみられる皮膚疾患は、軽症であることが多いので外用ステロイド剤などで治療することも可能であり、近年では生物学的製剤など新しい治療法も開発されています。irAEの知見が蓄積され、治療法も研究開発されることで、安心してがん免疫療法を受けられる可能性も高くなります。

 

参考URL

免疫チェックポイント阻害薬により出現した皮疹の検討, 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 49, pp. 75–82, 2021
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stmari/49/3/49_75/_pdf

アレルギーと自己免疫での抗サイトカイン療法
1)‌ アトピーと乾癬における免疫療法‌~皮膚科の視点から~, 日本内科学会雑誌 108 巻 3 号 p. 381-386
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/3/108_381/_pdf

乾癬, 公益社団法人日本皮膚科学会
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q11.html

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