がん免疫療法コラム

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肺がん免疫療法の現状とバイオマーカー開発

肺がんにおけるがん免疫療法

化学療法ががん治療における薬物療法の中心でしたが、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬など新たな薬剤が開発されました。がん免疫療法は、以前からがん治療において新たな治療法になると期待され、免疫チェックポイント阻害薬の開発によって肺がん治療における新たな治療法の一つとなっています。肺がん領域において扁平上皮がんを対象とした臨床実験では、従来の標準治療(ドセタキセル)と比べると免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)が良好な治療効果を示しました。近年では、早期の肺がんにおいて免疫チェックポイント阻害薬が使われるようになっています。

 

肺がん治療においてがん免疫療法に対して耐性が起きることも

免疫チェックポイント阻害薬は、従来の化学療法に比べて良好な治療効果がありますが、治療効果を高めるために化学療法と分子標的治療薬と組み合わせる複合免疫療法が開発されました。しかし、複合免疫療法を肺がん患者に行っても治療効果が十分にあらわれない、治療効果があっても耐性が起きてしまうことも症例もみられるようになりました。

 

治療効果を予想するためにバイオマーカーの同定が必要

免疫チェックポイント阻害薬が治療効果を示すのか調べるためにバイオマーカーが利用されています。免疫チェクポイント阻害薬は、腫瘍細胞上に発現するPD-L1抗体に働きかけて抗がん作用を示すため、腫瘍細胞上のPD-L1抗体がバイオマーカーとして利用されています。しかし、PD-L1抗体が発現していたとしても免疫チェックポイント阻害薬で治療できない場合もあり、確実性が高いとは言えないのが現状です。

 

がん免疫療法の課題と展望

PD-L1抗体の発現レベルによってがん免疫療法を行うか判断してきましたが、PD-L1抗体が発現したとしてもEGFR遺伝子やALK融合遺伝子変異が陽性の場合は、免疫チェックポイント阻害薬が効果を示さないことが報告されています。そのため、がん免疫療法において治療効果の確実性を上げるためには、遺伝子変異などを解析することも必要です。

現在、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を高めるために、さまざまな薬剤との併用療法が模索されています。免疫チェックポイント阻害薬と抗CTLA-4抗体の併用療法では、免疫関連有害事象が増えるという問題点があるものの、PD-L1抗体が陰性の患者において治療効果があった症例もみられました。

また現在、がん免疫療法に関するバイオマーカーの同定や新たな治療法の開発が進められています。免疫チェックポイント阻害薬についても治療適応が広がっており、複合免疫療法についても利用が広がることが予想できます。

 

参考URL

肺がん免疫療法の今後の方向性, 肺癌. 2024; 64:2-10, 特定非営利活動法人日本肺癌学会http://www.haigan.gr.jp/journal/full/064010002.pdf

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