がん免疫療法コラム

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フレイルを誘発するがん

高齢化率上昇によるがんの増加

日本の高齢化率は年々上昇しており、平成27年には65歳以上の高齢者人口の割合は26.7%であったが、令和元年には高齢化率が28.4%でした。高齢化率の上昇は今後も続き、がんの発症について増加傾向にあります。国立がん研究センターによると2012年にがんを発症した人の70%が65歳以上の高齢者であり、がんの治療の研究開発が寿命の延伸に大きく影響することが考えられます。

 

フレイルは健康寿命に影響する

フレイルは、高齢者の虚弱な状態をあらわしており、健康な状態と要介護状態(寝たきり)の中間の状態に位置付けられています。フレイルに対して早期に医療的、介護的なケアを行うことでフレイルを予防し、健康寿命を伸ばすことにもつながります。フレイルは、3つの要素で構成されており、身体機能の低下など「身体的フレイル」、認知機能の低下や不安、抑うつなどの「心理・精神的フレイル」、経済的な問題、介護的ケアの不足など「社会的フレイル」があります。

 

がんによってフレイルを発症することも

高齢者のがん患者は、長いがん治療によってフレイルを誘発する可能性があります。フレイルになると運動機能の低下や栄養状態不良などがみられ、積極的ながん治療が難しくなる場合もあるので注意が必要です。また、フレイルによって引き起こされる低栄養状態は、免疫機能低下にもつながり、がんに対する抵抗力を低下させる要因にもなります。

がん免疫療法においても十分に効果を発揮させるためには、フレイル対策をして免疫機能を維持することが重要であることが考えられます。高齢がん患者に対して、がん治療と並行してフレイル対策としての運動療法と栄養療法を行うことで、有効性が示された研究も存在します。

 

がん治療とともにフレイル対策をすることが重要

がんによってフレイルが誘発されることがあり、高齢がん患者にはフレイル対策を行っていくことが重要です。フレイル対策をするためには、運動機能を改善するためのリハビリテーション療法、栄養療法、介護士による生活の補助など多職種の連携が重要です。医療の現場でも、がんと診断された70歳以上の高齢がん患者375名に対して、多職種によるカンファレンスによって多角的な視点で治療方針を検討した結果、約2割で治療方針の変更がみられました。がん治療を成功させるためにも、医師や看護師だけでなく、さまざまな職種の連携が必要です。

 

参考URL

高齢がん患者におけるフレイル対策,理学療法学 第44巻suppl.No.3 115~116頁(2017年)

高齢化の現状と将来像,内閣府

がん免疫栄養療法,静脈経腸栄養 Vol.28 No.2 2013

高齢者における栄養指標と免疫能,日本栄養 ・食糧学会誌 Vol.39 No.1 1~8 1986

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