がん免疫療法コラム

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フレイルががん免疫に与える影響と漢方薬

フレイルは健康寿命を縮める要因

高齢者において、加齢以外にも認知症や心疾患、高血圧、脂質異常症、糖尿病など、様々な要因により身体機能の低下がみられます。医療的ケアと同時に介護的なケアも必要となり、最悪の場合は寝たきり状態に陥ることもあるので、健康寿命を伸ばすためにも早めの対策が必要です。高齢者が、健康的な状態から要介護に至るまでの中間の段階を「フレイル」と呼びます。フレイルは、筋力の低下による店頭のリスク増加、認知機能障害やうつ病などが問題となって、相互にリスクを高める傾向があります。

 

フレイルによってがん免疫が低下することも

フレイルになると身体能力の低下とともに食欲低下による栄養状態の低下も見られます。栄養状態が悪化すると筋肉の材料であるタンパク質も不足し、筋肉量が低下します。骨格筋細胞が減少することで免疫細胞の老化が誘発され、免疫機能が低下することも報告されています。免疫機能が低下するとがん細胞を攻撃できなくなるため、がんの増殖を加速させることにもつながるので、がん患者に対して栄養面と運動機能面のケアが重要です。

 

フレイルに対する漢方薬

フレイルに対して医療的なケアをする上で、栄養療法やリハビリテーションとは別に漢方薬の働きが注目されています。フレイルは、漢方医学的には「虚証」、「寒性」という状態であり、体をめぐるエネルギーが不足して身体が冷えていると解釈されています。そのため、フレイルに対して身体をめぐるエネルギー(気)を補充するとされている補気剤が処方されます。補気剤には、補中益気湯や十全大補湯などがあります。また、食欲不振など栄養状態の悪化によって起こるフレイルなどに対しては食欲を改善する効果がある六君子湯や人参養栄湯などが使われます。現在、フレイルに対する漢方薬の効果についての研究も進んでおり、フレイルに対する対策法として漢方薬が医療の現場でも処方されるようになりました。

 

フレイルに対処することでがん免疫療法にも良い影響が起きる

フレイルへの対処をすることで身体機能も維持でき、免疫機能の改善も期待できます。免疫機能を改善することで、がんに対する免疫を十分に発揮できる状態になります。がんに対する免疫機能にアプローチする「がん免疫療法」は、フレイルへの対処によって免疫機能を改善することで、より効果が期待されることでしょう。がん治療を成功させるためにも、健康寿命を伸ばすためにもフレイル研究の進展が望まれています。

 

参考URL

高齢者における漢方の有用性,日本臨床生理学会雑誌 Vol. 49, No. 3, 2019.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocp/49/3/49_131/_pdf/-char/ja

サルコペニアががん免疫に与える影響についての基礎的研究
https://www.ms-ins.com/welfare/document/list/pdf/2020/2020_2_15.pdf

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