がん免疫療法コラム

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がんワクチン療法と樹状細胞《偶然と強制》 Vol.17

一般的にワクチン治療とは、ある特定の病原体が体内に侵入する以前に、その病原体に対する免疫力を高めて感染症などを予防する目的で用いられます。その基本はディフェンスにあります。しかし、「がんワクチン」に関しては、「がん」は既に体内に存在していることから、予防的な利用という概念には当てはまりません。「がんワクチン」とは、「がん」を攻撃して排除するために免疫力を高める、つまりオフェンス力を高めてがんを治療する目的で用いられます。このように「がんワクチン」の使用目的は、一般的なワクチン治療とは異なりますが、抗体の産生などの免疫反応を人為的に作り出すという点で一般的な「ワクチン」と同じであることから、「がんワクチン」という用語が使われるようになりました。

■がんワクチンの種類とその違い

「がんワクチン」治療には、「ペプチドワクチン」と「樹状細胞ワクチン」の2種類ありますが、樹状細胞に「がん」の目印を認識させる方法が異なります。

◇がんペプチドワクチン

「がん」の抗原をペプチド(2個以上のアミノ酸分子が結合した化合物)にして、これを目印として体内に注射します。この目印を「樹状細胞」が見つけ、「がん」の情報を取得します。そして、この「がん」の情報を他の免疫細胞に伝達します。伝達を受けた免疫細胞は活性化し、「がん」を死滅させます。この仕組みを「がんペプチドワクチン」と呼んでいます。しかし、「樹状細胞」が目印をうまく見つけられるかは、「偶然の成り行き」に任されており、その意味で不確定な要素が含まれていると言えます。この点においては、以下の「樹状細胞ワクチン」の方が優れています。
因みに、本邦において承認を取得した「がんペプチドワクチン」はありませんが、「Provenge(プロベンジ)」というワクチンが、2010年にアメリカで、2013年にはヨーロッパで、前立腺がんに対して承認を取得しています。

◇樹状細胞ワクチン療法

「樹状細胞」を体外に取り出して、「樹状細胞」と「がん」の目印を一緒に培養することにより、「樹状細胞」に「がん」の情報を取得させます。そして、情報を取得した「樹状細胞」を体内に戻します。ポイントは「がん」の目印を使い、強制的に情報を取得させる点が、「がんペプチドワクチン」と異なるところです。以上のように「樹状細胞」を体外に取り出して、確実に「がん」の情報を取得させた後に体内に戻すことにより、他の免疫細胞を活性化して「がん」への攻撃を開始さる仕組みを「樹状細胞ワクチン療法」と呼んでいます。

 

がんワクチン療法では、「がん」の目印である「がん抗原」に何を使うかが大きなポイントとなってきます。同仁がん免疫研究所で行っている6種複合免疫療法「CSC」では、WT1ペプチドという人工のペプチド抗原を使い、「樹状細胞」に「がん」の目印を覚えさせます。次回はこの「がん抗原」であるWT1ペプチドについて見て行きたいと思います。

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