がん免疫療法コラム

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がん免疫療法と栄養療法の併用

栄養状態はがん治療において重要な要素

消化器外科手術患者においては、手術前の栄養状態が術後の合併症の発症に大きく影響する要因です。大腸がん患者では、外科手術前の栄養状態が悪かった人では術後合併症の発症率が52%、死亡率に至っては12%も上昇し、栄養状態がよかった人では、術後合併症の発症率が31%、死亡率は6%低下することが報告されています。

また、栄養状態が悪い患者に対して、中心静脈栄養による管理をすることで外科手術後の感染症の発症を抑えられることが確認されています。

そのため、がん治療において適切な栄養管理を行うことが生存率に直結すると言っていいでしょう。

中心静脈による栄養管理の問題点

中心静脈による栄養管理は、食べ物を飲み込む力が低下している患者に対しても栄養管理ができるメリットがありますが、食物が消化管を通らないことから腸管粘膜の萎縮やそれに伴う腸管免疫能の低下が見られることがデメリットです。

近年では、消化管機能の維持や免疫機能低下の予防の観点から、経腸栄養を用いた栄養管理の重要性が増しています。

免疫機能を底上げするための免疫賦活栄養法

栄養管理によって人間の体がもつ本来の免疫機能を高めようとする試みが1980年代から欧米で研究されるようになりました。1986年に熱傷に対してn-3系脂肪酸投与による免疫機能増強作用が報告されてから、アルギニン、グルタミンなどのアミノ酸や核酸などに免疫増強機能を強化する作用が報告されています。

免疫賦活栄養法は、n-3系脂肪酸やアルギニン、グルタミン、核酸など免疫を強化する栄養素を配合した経腸栄養剤を用いることで、免疫機能の増強、調節を目的としています。

1992年米国で行われた上部消化管悪性腫瘍手術患者に対する免疫賦活栄養剤を投与した臨床試験では、通常の経腸栄養剤に比べて感染性合併症の発症、入院日数の有意の低下が認められました。

複数の治療法を併用することががん治療で重要

免疫機能を強化する「免疫賦活栄養法」は、がん免疫療法の治療効果を高めることが期待できる。経腸栄養剤による栄養管理はがん治療においても生存率、治療効果を上昇させるためにも重要な役割を果たしています。副作用の軽減に効果が期待できる支持療法などがん治療においては複数の治療法を組みわせることが重要です。今後、がん免疫療法と免疫賦活療法の併用療法の研究が進むことが予想されます。

参考URL
がんと免疫栄養療法ならびにがん免疫と栄養療法,日本静脈経腸栄養学会雑誌3(21):847-850:2017
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/32/1/32_847/_pdf

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