がん免疫療法コラム

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非喫煙者がなりやすい肺腺がん

 

肺腺がんは死亡率が高いがんの一つ

肺がんは、がんによる死因として一位であり、日本では年間に約7万6千人の患者が亡くなっています。

肺腺がんは、肺がんの中でも最も発症頻度が高く、肺がん全体の半分を占めており、肺の奥の方で発症するため、初期に症状もなく早期の発見が難しいとされています。

症状が進行すると胸痛や咳、痰などがみられますが、肺腺がん特有の症状はないので世界的にも死亡率の高いがんの一つです。

 

アジア圏では非喫煙者でも肺腺がんの発症が多い

肺がんの発症リスクを上昇させる要因として最も多いのは喫煙です。

特に、肺腺がんについで患者数が多い肺扁平上皮がんは、ヘビースモーカーに多く、男性の喫煙者に多くみられます。

しかし、肺腺がんは、女性や非喫煙者でも、発症することが多く、アジア圏では肺腺がん患者の約40%が非喫煙者です。

アジア圏では、非喫煙者に発症することが多い肺腺がんですが、アメリカ、ヨーロッパ圏では非喫煙者の肺腺がんの発症例が約10%と低く、肺腺がんの発症には遺伝子の影響があると考えられていました。

 

肺腺がんの発症に関わる遺伝子の特定

国立研究開発法人国立がん研究センターでは、日本人の肺腺がん患者17000例と肺がんを発症していない150000人の遺伝子を解析して、肺腺がんの発症に関わる遺伝子の特定をしました。

結果として、日本人の肺腺がん発症に関連する遺伝子は19個が特定され、非喫煙者に多く発生するEGFR遺伝子の変異をもつ肺腺がんの発症に関わっていることがわかりました。

EGFR遺伝子は、細胞の増殖を促進するタンパク質の生成に関わる遺伝子であり、EGFR遺伝子が変異すると細胞の異常増殖(がん)しやすくなると考えられています。

これらの研究から、EGFR遺伝子を変異させる遺伝子領域を持っていることで、肺腺がんの発症を事前に予測することが可能となります。

 

がんに関わる遺伝子の特定は早期発見につながる

肺がんは、喫煙などの環境要因だけではなく、遺伝子によって発症リスクが上昇することがわかってきました。

がんの発症に関連する遺伝子を特定することで、事前にがんの発症を予測し、がんの早期発見につながります。

また、遺伝子の解析によって、これまでわかっていなかった肺腺がんのメカニズムを解き明かすことにつながるかもしれません。

肺腺がんの発症メカニズムが解明されることで、早期発見の手法の開発以外に治療薬の開発にも役立てることも可能です。

 

参考URL

Identification of telomere maintenance gene variations related to lung adenocarcinoma risk by genome-wide association and whole genome sequencing analyses
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/cac2.12498

日本人に多いEGFR変異を持つ肺腺がんの罹りやすさを決める遺伝子領域発見―免疫を司るHLA遺伝子など6遺伝子領域が関与―
https://www.amed.go.jp/news/release_20160809.html#:~:text=EGFR遺伝子は、必要に,が知られている%E3%80%82

肺腺がんとは,肺がんとともに生きる,アストラゼネガ
https://www.haigan-tomoni.jp/know/about/type02.html

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