がん免疫療法コラム

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漢方薬によってがん転移を抑制する可能性

がん治療における漢方薬の役割

漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることで作られる医薬品です。

がん治療における漢方薬の役割として、治療による副作用の軽減や体力回復、治療効果の増加、免疫力の活性化などがあげられます。

多くの場合、がんに対して抗がん剤などによる直接的な攻撃を必要としない場合に、術後の体力回復、体質の改善などにも適応があります。

がん治療において副作用などによる生活の質(QOL)の低下などが問題とされているため、QOLの改善に効果が期待できる漢方薬は重要な医薬品と言えるでしょう。

 

十全大補湯によるがんの悪性化進展の抑制

線維肉腫マウスを用いた検証では、十全大補湯の投与によりがん細胞の悪性化を抑制したことが報告されています。

線維肉腫におけるがんの悪性化には、体内に存在する細胞から放出される活性酸素や炎症を起こす体内物質などが原因と推察されており、十全大補湯の構成成分である経皮ががんを悪性化させる要因を排除していると考えられています。

また、結腸がんを発症したマウスに、抗がん剤を投与した臨床試験では、十全大補湯との併用によってがんの肝臓への転移と副作用の軽減、生存期間の延長が認められました。

 

漢方の効果発現は臓器や体質が関係している

十全大補湯との抗がん剤の併用によって結腸がんから肝臓への転移を抑制することが報告されていますが、肺がんから縦隔転移をマウスで検証した場合には、肝臓への転移とは異なり、十全大補湯では効果がみられませんでした。

しかし、人参養栄湯や当帰芍薬散を併用した場合は、肝臓へのがんの転移を抑制しませんでしたが、肺へのがんの転移を抑制しました。

このことから、漢方薬によって臓器や体質などによって効果発現の有無が異なっていると考えられます。

 

がん治療と漢方薬の併用によってがんの転移を抑制する

ヒト腎細胞がんに対してインターフェロン治療が行われていますが、治療の成功率は高いものとは言えません。

そのため、腎細胞がんの高い抗がん作用を示す治療法の開発が望まれています。

腎細胞がんを発症したマウスを用いて、十全大補湯とインターフェロン併用療法を行うと通常のインターフェロン療法や漢方薬単独療法に比べて肺へのがん転移の抑制が認められました。

十全大補湯を併用することで、インターフェロンの副作用の軽減も認められているので、抗がん剤治療に伴うつらい副作用への対応策として漢方薬は有望視されています。

さらなる漢方薬の仕組みの解明によって、がん治療の新しい治療法の確立につながる可能性があります。

 

参考URL

漢方薬によるがん転移阻害のメカニズム
https://www.inm.u-toyama.ac.jp/wiki/review_01.html

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