がん免疫療法コラム

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ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者の新たなアプローチ

乳がんのタイプは、がん細胞の内部に発現するホルモン受容体と、がん細胞の表面に発現するHER2タンパクの過剰発現の有無により、「ホルモン受容体陽性乳がん」「HER2陽性乳がん」「トリプルネガティブ乳がん」に分類されます。

3つのタイプはそれぞれ腫瘍の増殖の成り立ちが異なるため、治療法も変わります。

 

ホルモン受容体陽性乳がん

ホルモン受容体(HR)陽性乳がんとは、エストロゲンやプロゲステロンというホルモンの受容体をもつがん細胞を特徴とし、乳がん全体の70%に該当します。

タモキシフェンやアロマターゼ阻害剤などのホルモン療法が治療の基本です。

 

HER2陽性乳がん

HER2 (ハーツー)陽性乳がんとは、がん細胞の増殖に関係するHER2というタンパクのレベルが正常より高い細胞が乳がん細胞の表面にたくさん存在している状態をいいます。

乳がん患者の15-20%がHER2陽性乳がんで、HER2タンパクを標的とするトラスツズマブ(ハーセプチン)などの抗HER2療法が治療の基本です。

 

トリプルネガティブ乳がん

エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体の発現、HER2過剰発現もないタイプをトリプルネガティブ乳がんといい、乳がん全体の15-20%にあたります。

ターゲット特有のホルモン剤や抗HER2剤は効果的ではないため、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤が治療の基本です。

 

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤とは、さまざまな免疫細胞の働きを抑制する免疫チェックポイントを阻害することで、がん細胞に対する免疫応答を活性化、持続させる薬剤です。

2020年からトリプルネガティブ乳がんなど一部のがんの標準治療として保険適応となりました。

 

ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん患者の新たなアプローチ

ホルモン受容体陽性HER2陰性の転移性乳がん患者に対して、免疫チェックポイント阻害剤と内分泌療法を併用した治療報告があります。

通常、ホルモン受容体陽性乳がん患者には免疫療法は反応しませんが、この研究ではCDK4/6 阻害剤 (アベマシクリブなど)とニボルマブを併用することで、ある程度の有効性が認められました。

好中球減少症(白血球数の低下)や肝毒性などの副作用も見られたため、すぐには臨床では使えませんが、免疫チェックポイント阻害剤の効果を上げる新たなアプローチとして今後期待できそうです。

参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10503337/

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