がん免疫療法コラム

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副作用の軽減に期待できるナノテクノロジー

診断と治療を同時に行える

ナノとは、1mmの1/1000の長さであり、非常に小さい大きさです。人間の大きさが約6000〜25000ナノメートル、インフルエンザウイルスが100ナノメートルほどと言われ、がん細胞に直接働きかけるためにもナノメートル単位の技術が必要とされてきました。

近年では、ナノレベルのカプセルが開発されており、病気の治療以外にも病気の診断や外科治療などにも役立てられています。

 

がん細胞に直接薬剤を届ける技術

従来の化学療法では、抗がん剤によってがん細胞を攻撃して治療しますが、健康な細胞にも攻撃するため、副作用が出やすいデメリットがありました。「ナノDDSシステム」は、がん細胞の核に入り込み薬剤を直接届ける仕組みを持っており、少ない薬剤量でがんを死滅させることも可能です。がん細胞にのみ取りついて薬剤を運ぶ仕組みも存在するため、従来の外科手術や放射線治療では、治療が難しかったがんに対しても治療効果が期待できます。ナノDDSシステムをうまく活用することで、高い治療効果と副作用の軽減が両立できる可能性があります。

 

中性子捕捉治療の課題を解決

中性子捕捉治療とは、中性子と反応しやすい薬剤をがん細胞に集めて中性子を照射することで、限定的な核反応を起こすがん治療法です。通常の放射線療法に比べると高い治療効果が見込めるため、治療が難しかったがんに対しても効果が期待できます。

現在、ホウ素を利用した中性子捕捉治療について臨床応用されていますが、さらに高い治療効果が見込まれるガドリニウムが注目されています。近年までは、ガドリニウムを、がん細胞に特異的に集積させる技術は開発されていませんでしたが、東京大学大学院工学系研究科・医学研究科でナノテクノロジーを用いてガドリニウムをがん細胞に特異的に集積させるシステムの開発に成功しました。マウスによる動物実験でも、ガドリニウムを利用した中性子捕捉治療によりがん細胞の増殖抑制を確認できました。

 

ナノテクノロジーによって副作用や経済的負担を軽減できる

ナノテクノロジーを活用することで、がん治療にはつきものである副作用を軽減できる可能性があります。副作用による患者の負担を軽減することで、入院期間を減らしたり、社会への復帰を早めたりすることで経済的負担も減らせる効果も期待できます。

治療が困難であった脳腫瘍などのがんに対してもナノテクノロジーによって効果の高い治療ができるようになるかもしれません。ナノテクノロジーのさらなる開発ががん治療の進歩には欠かせないと言えます。

 

参考URL

患部を直接治療するナノカプセル,  国立研究開発法人科学技術振興機構
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2004/pr20041112/pr20041112.html

“切らない手術”を実現するナノマシンを開発―がんの日帰り治療の実現に向けて, 東京工業大学
https://www.titech.ac.jp/news/2015/031542

 

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