がん免疫療法コラム

シンボルマーク
パターン
パターン

癌の骨転移について3

はじめに

今回はがんの骨転移の放射線治療・外科治療について解説します。

 

切迫骨折について

実際に骨折が無くても骨の破壊が進行して、些細な力で骨折が発生する可能性が高い状態を「切迫骨折」と言います。切迫骨折の場合は、患者さんの病態により手術を行う場合と放射線で治療する場合があります。

 

骨転移の放射線治療

手術に比べて体の負担が少ない治療法で、痛みがあり画像検査で骨転移の診断がついた場合は、第一選択になる場合が多い治療法です。このような骨転移の痛み(有痛性骨移転位)に対して放射線治療、特に外照射を行うことが推奨されています。

痛みを和らげる、骨折や脊髄圧迫による下半身麻痺を予防したりなど症状緩和の質を高めることができます。さらに放射線を当てた範囲のがん細胞の量を減らし(がん病巣の縮小)、がんの種類によってはがん細胞が完全に消失する場合もあります。また、壊れていた骨の再生や骨転移に対する手術後の悪化の防止にも繋がると言われています。

ただし、放射線治療にもだるさや吐き気、放射線治療を行った部位の皮膚の赤みやかゆみなどの副作用が発生することがあります。これらは薬で軽減させることが可能です。また、治療を行っている最中の数分間は、同一体位を維持する必要があるため、痛みがある場合は事前に鎮痛薬の使用が必要な場合があります。

 

骨転移の外科治療

手術はからだに負担をかける治療なので、どんな状態でも行えるわけではなく、手術によるメリットが手術のリスクを明らかに上回る場合に選択されます。

骨折や脊髄圧迫が起きてしまった場合や、骨を補強して骨折を予防するために行われる場合にも整形外科手術が行われます。

手術の目的は痛みの緩和のみならず、移動能力(歩行など)の維持や再獲得も期待できます。また、がん転移部の切除を行うことで局所的な根治が得られることもあります。

上腕や大腿骨に病的骨折を発症した場合は、痛みが強いので、可能な限り手術が推奨されます。具体的に言うと、長管骨には内固定や関節置換が行われます。

一方、背骨(脊椎)では、さまざまな要素(患者さんの病状・全身状態、他治療(放射線・薬物療法)の有効性、骨転移の数、麻痺・痛みの程度など)を考慮して手術をするかどうか決定します。病的骨折や脊髄損傷の予防あるいは治療として、脊椎では経皮的椎体形成や除圧、脊椎固定、脊椎骨全摘出術などの術式が選択されます。

 

最後に

これまで骨転移の薬物療法・放射線療法・手術療法を順に解説してきました。

どの治療方法を選択するかは、患者の全体的な健康状態、がんの種類や進行具合、そして個々の生活の質によって大きく異なります。正しい治療選択を行うためには、医療チームとの綿密なコミュニケーションが必要不可欠です。

 

出典:Jpn J Cancer Chemother 50(3):287-298, March, 2023

資料請求・お問い合わせ

専任のスタッフが丁寧に対応いたします。ご不明な点などございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

この情報をシェアする
シンボルマーク

よく読まれている記事

TOP