がん免疫療法コラム

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がんの検査としての細胞診検査

がん細胞を探す細胞診検査

細胞診検査は、口や気管、膀胱、子宮などの粘膜から採取した細胞について顕微鏡を用いて良性、悪性、腫瘍の形態などを推定できる検査です。細胞の採取方法として皮膚から針を刺して吸引したり、痰や尿などの体液中に存在する細胞を採取したりするさまざまな採取方法があります。

細胞診には、病変組織の一部を切り取って検査する組織診検査に比べると、がんの正確な発症部位や重症度などの判別が難しいというデメリットがあります。しかし、尿や痰などの体液や粘膜を採取する細胞診検査は、組織診検査に比べて患者への負担が少ないことがメリットです。また、細胞採取から検査の結果がわかるまで時間が少ないこともあり、がんの早期発見にもつながる検査方法と言えます。

 

子宮頸がんの早期発見に有効

細胞診検査は、子宮頸がんでは非常に重要な検査方法とされています。子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因であり、発がん過程が解明されているがんです。そのため、HPVワクチンの接種と早期の子宮頸がん検診(HPV検査と細胞診検査)による早期発見で対処できるがんと言えます。

子宮頸がんで行われる細胞診検査は、子宮頸部をブラシなどで擦って採取した細胞を顕微鏡で検査する「直接塗抹法」が主流でしたが、近年では、不適正標本が回避できて精度の高い「液状化検体細胞診」が普及しています。

 

先進医療としての細胞診検査

肺がんの化学療法では、分子標的薬が用いられますが、がん細胞が持っている遺伝子によっては十分に効果が発揮されません。そのため、がん細胞を解析して分子標的薬が有効か確認する必要があります。保険適応とされている検査は、がんの組織を採取する組織診検査ですが、先進医療として細胞診検査が行われています。肺がんの細胞診検査では、組織診検査では検体の採取が難しい症例でも検査が可能であり、患者への身体的負担が少ないことがメリットです。

 

細胞診検査と組織診検査の併用ががんの早期発見につながる

細胞診検査は、がんの発症部位や重症度などの詳細な状態を検査するには向いていませんが、がん細胞の有無を調べることができます。また、細胞診検診は、尿や痰、粘膜などを検体とするため、身体的負担が少ない特徴があります。そのため、最初にがんのスクリーニング検査として細胞診を行って異常があった場合に組織診検査することで、患者の苦痛を減らしてがんの早期発見につなげることも可能です。

参考文献

臨床に呼応した迅速細胞診,日医大医会誌2005;Ⅰ(3)
https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/001030102.pdf

Q119 婦人科細胞診で、直接塗抹法とLBC法の違いについて教えてください,一般社団法人広島市医師会臨床検査センター
http://www.labo.city.hiroshima.med.or.jp/qanda/7087.html

細胞診検体を用いた肺がんコンパクトパネルによる次世代シーケンシングの有用性,2022 The Japan Lung Cancer Society
https://www.jstage.jst.go.jp/article/haigan/62/7/62_989/_pdf/-char/ja

先進医療の各技術の概要,厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html

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