がん免疫療法コラム
口の中を見ると食道がんのなりやすさがわかるかもしれない
早期発見が生存率上昇につながる
食道がんは初期症状があまり出ず、わずかにしみる程度と言われています。食道がんが進行すると食道を圧迫し、飲み込みにくさや声のかすれ、咳など逆流性食道炎の症状にも似ているため、発見が遅くなることもあるので注意が必要です。食道がんは、治療が難しいがんの一つであり、食道がん患者の5年生存率は40%とも言われています。近年では、内視鏡診断や新しい治療法によって生存率が以前に比べて上昇していますが、早期発見という課題が残っています。
食道がんのリスクを高める要素
食道がんを予防するためには、食道がんの発症リスクを高める原因を避けることが重要です。食道がんは扁平上皮がんと腺がんの二つに分類されています。
扁平上皮がんの発症リスク要因として飲酒と喫煙が挙げられます。飲酒歴があると2.2倍、喫煙歴があると1.4倍、両方ある場合は3.3倍、食道がんを発症リスクが高くなります。
腺がんの発症リスクを高める要因として逆流性食道炎があります。逆流性食道炎は、高脂肪食や肥満などが原因で発症し、治療をしなかった場合、慢性的に食道にダメージが蓄積する可能性もあるので逆流性食道炎への対処も必要です。
口の中の状態から食道がんのリスクがわかる可能性も
口の中を観察することで、食道がんの早期発見に繋げられる可能性があります。口の中や喉は、食道と繋がっており、表面の粘膜は同じ細胞でできているため、食道がん患者は咽頭がんや口腔がんにかかることもあります。口腔内の粘膜が黒色に変化していると3.3倍、白色粘膜の付着が見られる場合は4.3倍の食道がんを発症しやすくなるとも言われています。そのため、飲酒歴や喫煙歴と合わせて口腔内の状態を見ることで、食道がんの発症リスクを早期に予測することも可能です。
近年では、内視鏡診断の技術も進歩し、食道がんの早期発見ができるようになりました。しかし、内視鏡診断には手間がかかるため、歯科診療や健康診断などで口腔内の状態を観察することで、食道がんのさらなる早期発見にもつながるかもしれません。
免疫療法による食道がんの生存率向上が期待されている
がんを早期に発見して治療していくことが、生存率の上昇につながります。しかし、転移が広がったり、再発したがんに対しては抗がん剤治療がメインの治療法ですが、食道がんで使われる抗がん剤は限られています。
現在は、大腸がんや乳がんなどの免疫療法に使用される分子標的薬が、食道がんの新しい治療薬として期待されています。近い未来では、食道がんでも効果を示す免疫療法の開発が進んでいることが考えられます。
参考文献
口の中を見て、食道がんになりやすい人を見つける新手法を発見,大阪国際がんセンター
https://oici.jp/center/news/2202/
食道がん,日本赤十字社医療センター
https://www.med.jrc.or.jp/visit/cancer/esophagus/tabid/777/Default.aspx
がんに関する情報,食道がん,がん研有明病院
https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/esophagus.html