がん免疫療法コラム

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がん治療における医療用麻薬

がんには痛みが伴うことがある

がんの治療や抗がん剤の副作用、がんの進行によって痛みが生じることがあります。がんと診断された患者の8割は痛みがあるとも言われ、がんの治療を前向きに継続するためにも痛みへの対処が必要です。がんの痛みについては、通常の鎮痛薬以外にも医療用麻薬が使用されます。医療用麻薬は高い鎮痛効果があり、通常の鎮痛剤では効果がみられなかった痛みに使用されます。麻薬と聞いて中毒、依存性のイメージがありますが、がんの痛みへ適切に使用される場合は中毒や依存が問題になることはありません。

 

医療用麻薬はWHOでガイドラインが制定されている

WHOでは、医療用麻薬の適切な使用とがんの効果的な鎮痛を目的としてガイドラインが作られています。以下のWHO方式がん疼痛治療法5原則にそって医療用麻薬を使用することが推奨されています。

・できるだけ経口的に

・規則正しく決まった時間での服用

・鎮痛ラダーにそって効力の順に使用する

・患者ごとの用量を決める

・細かい配慮をしながら治療する

がん疼痛治療は、外科手術や薬物療法、放射線療法に並んでがん治療の重要な柱だと言えます。がん治療と並行して痛みに対するケアも同時に行うことが必要です。

 

がんの痛みへの治療は段階的に

がんの痛みに対するケアは、WHO方式鎮痛ラダーにそって治療することが推奨されています。鎮痛ラダーは、鎮痛効果の低いものから使用し、がんの進行によって効力の強い鎮痛剤を使っていく方法です。第1段階では、通常の鎮痛薬である非ステロイド性鎮痛薬(NSAIDs)やアセトアミノフェンが使われます。第2段階では、軽度から中等度の効力がある医療用麻薬が使用され、第3段階では中等度から高度の効力がある医療用麻薬が使用されます。

神経の損傷など医療用麻薬の効果が感じにくい痛みについては、抗うつ薬や抗けいれん薬、ステロイドなどの鎮痛補助薬が併用されることもあります。

 

痛みへのケアはがん治療において重要

がんの痛みについても積極的に取り除くことが求められているため、終末期以外にもがんの早期からの痛みに対しても医療用麻薬が使用されることもあります。がんと診断されてから患者さんには、痛み以外にもメンタル的なつらさなどさまざまな苦痛が伴います。痛みへのケアを行うことで、心身の消耗を抑え、がんの治療に対して前向きにとらえることも可能です。がん治療における患者の苦痛を軽減する緩和ケアは、がんの重要な治療法と言えます。

参考文献
医療用麻薬によるがん疼痛緩和の基本方針,厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/iryo_tekisei_guide2017_01.pdf
がん疼痛治療の概要,がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン,日本緩和医療学会
https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/pain_2020/02_03.pdf

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