がん免疫療法コラム
がん治療におけるサルコペニアとは?
サルコペニアは2種類に分類される
サルコペニアは、筋肉量の減少によって筋力や身体機能が低下する状態です。主な原因として加齢があげられます。加齢が原因となるサルコペニアは、「一次性サルコペニア」に分類されます。65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアに該当するとされ、健康寿命にも影響する要因です。
加齢以外にも栄養不足や運動量の低下などで起こる「二次性サルコペニア」も存在します。特に、がん患者では、化学療法の副作用による食欲不振などによって、体重減少や筋肉量の低下、長期の入院などサルコペニアを引き起こす要素が重なることもあるので注意が必要です。
サルコペニアは余命にも影響する
サルコペニアによる筋肉量の低下は、立ち上がるなどの日常生活に必要な運動能力が低下するだけではなく、免疫機能の低下と糖尿病のリスクを高めるので対策を考えることも必要です。筋肉は人体のエネルギー源である糖を貯蔵する機能があり、糖の量を調節する働きがあります。筋肉量が低下することで血糖値がうまく調節できず糖尿病になる可能性が上昇します。
また、筋肉量が減ると免疫機能が低下し、サルコペニアの方は通常の2倍、肺炎にかかりやすいとされています。サルコペニアは、要介護のリスクを高めるだけではなく、さまざまな健康リスクになり余命にも影響するため注意が必要です。
がん治療におけるサルコペニア
がん患者がサルコペニアになりやすい要因として、がん細胞が分泌するサイトカインという物質があります。サイトカインは、全身性の炎症を引き起こし、タンパク質や脂肪の分解を促進する働きがあります。そのため、がんを発症することで筋肉が分解されサルコペニアのリスクを高めます。
がん治療におけるサルコペニアは、胃がんや大腸がん、肝臓がんなどさまざまな消化器系のがんでは、術後死亡や合併症の発症のリスクを高めるため治療の進行にも影響します。
栄養療法とリハビリが重要!
サルコペニアを改善するためには、栄養状態を改善し、筋肉の材料となるタンパク質の適切な摂取が必要です。
栄養状態を改善した上でリハビリなど運動療法を取り入れて筋肉量が減らないようにすることも並行して行うことも重要です。
管理栄養士によるカウンセリングによって必要な栄養素の摂取方法をアドバイスしてもらったり、理学療法士から無理のない筋トレを教えてもらったりすることで自宅でもサルコペニア対策ができます。がん治療における体力の低下や食欲不振に悩んでいるなら相談してみても良いでしょう。
参考URL
がん治療とサルコペニア,日本静脈経腸栄養学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspen/32/1/32_822/_pdf
がん患者さんのサルコペニアをどう防ぐかーカギを握るのは栄養管理とリハビリテーション,がんプラス
https://cancer.qlife.jp/nutrition-support/event-visit/article14538.html
筋肉と健康・寿命の関係 筋肉量が落ちるリスクと病気について,NHK健康ch
https://cancer.qlife.jp/nutrition-support/event-visit/article14538.html