がん免疫療法コラム

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Vol.179 がん免疫療法に関わる重要なバイオマーカーとは?

がん免疫療法の治療効果には個人差がある

がん免疫療法は、従来の化学療法などのがん治療に比べると生存率が上昇し、副作用も比較的少ないというメリットがありますが、従来の治療法よりも効果に個人差が大きいというデメリットも存在します。これまでの臨床経験からがん免疫療法に個人差があらわれる要因として、がん細胞の特性によるもの、患者さんの免疫体質、患者さん自身の生活習慣や環境など様々な要因が考えられています。

 

がん免疫療法で使用される免疫チェックポイント阻害剤に個人差が生まれる要因を特定することで、多くの人にがん免疫療法をおこなえるようにすることががん免疫療法の課題と言えるでしょう。

適切な治療薬を選ぶにはバイオマーカーを調べることが重要

個人差の大きいがん免疫療法の治療薬を適切に選ぶために、バイオマーカーが注目されています。バイオマーカーとは、病気を発見したり、治療効果を確認したりするために利用される指標です。一般的なものとして血圧や心拍数、心電図などのバイタルサインが有名ですが、血液中に存在する特殊なタンパク質や遺伝子などの生体物質もバイオマーカーとして利用されています。

 

がん細胞に存在する遺伝子の損傷が大きいほど、がん抗原が発現するため免疫が反応しやすくなりますが、がん遺伝子と呼ばれる遺伝子の活性化によって発生したがんに対しては免疫が働きにくい特徴があります。そのため、遺伝子の変異量や損傷の度合いを測定することでがん免疫療法のバイオマーカーになる可能性があります。

 

しかし、いくつかの遺伝子ががん免疫療法のバイオマーカーとして報告されていますが、単一のバイオマーカーでの治療を選択するのは難しいのが現状です。

バイオマーカーの探索と同時にがん免疫複合療法が注目

がん免疫療法のバイオマーカーの探索だけでなく、複数のバイオマーカーを統合的に解析することで治療薬の研究が進められています。ヒト遺伝子の解析が進み、がん免疫に関する仕組みがわかってきていることも増えています。がん免疫療法の治験では、様々なバイオマーカーを統合的に解析するためにAIの活用も導入され、今後も治療薬の開発が進むと考えられるでしょう。

 

また、新しいバイオマーカーの探索や治療薬の開発と同時に、がん免疫療法治療薬や抗がん剤など複数の治療薬を併用することでがん免疫療法単独では効果がなかった患者さんの生存率を上げることが期待されています。

まとめ

がん免疫療法は、患者さんの体質や習慣、がん細胞の特性によって治療効果に個人差があることが知られています。しかし、バイオマーカーを統合的に解析することや、新しいがん免疫療法のバイオマーカーの探索などが進められ、多くの人に最適ながん免疫療法を選べるように研究が進められています。また、がん免疫療法治療薬や他の抗がん剤を併用しておこなわれる複合的がん免疫療法などの治療法も開発されているので、がん免疫療法がさらに注目されると考えられます。

 

 

参考文献

がん免疫療法〜免疫チェックポイント阻害薬〜,先端医科学研究所

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/medical_info/presentation/201810-01.html

抗腫瘍免疫応答の統合的解析,東京大学医学部附属病院免疫細胞治療学講座

https://immunotherapy-uth.jp/tumor_immunity/index08/

バイオマーカー,公益社団法人日本薬学会

https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?バイオマーカー

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