がん免疫療法コラム

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Vol.175 ワクチンによってがんは予防できる時代になるかもしれない

ワクチンは病原体に対する免疫をつくる

感染症を予防するために使われるワクチンは、がんも予防できる可能性があります。

ワクチンには、病原体を弱らせた生ワクチン、病原体の感染力や病原性を特殊な処理によって無くした不活化ワクチンなどさまざま存在します。共通していることは、ワクチンによって体が本来持っている免疫に病原体を覚えさせて、再度、同じ病原体が入っても免疫によって撃退できるようにすることです。

 

そのため、ワクチン接種することで病原体の感染を防いだり、感染しても症状を軽くしたりできます。

がん細胞は免疫細胞によって増殖を抑えられている

免疫は、感染症を引き起こす細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が体内への侵入を防ぐだけでなく、がんの増殖を抑制する働きを持っています。

 

がん細胞は、通常の細胞からがん細胞へ変異する過程で、正常の細胞には存在しないタンパク質が増えることがあります。免疫細胞は、正常の細胞には存在しないか、少ないタンパク質を目印にするため、がん細胞のみを攻撃することが可能です。

がん固有の抗原を特定することでワクチンが開発できる

免疫細胞の中でも、がん細胞に対する攻撃で中心的な役割を果たしているのがキラーT細胞です。キラーT細胞は、がん細胞にあらわれる特徴的なタンパク質を目印にしてがん細胞を攻撃します。がん細胞と認識するために必要な目印である抗原を特定することで、がんに対するワクチンを開発することも可能です。

 

がんワクチンには、がん抗原であるペプチド(タンパク質)を投与する「ペプチドワクチン」とがん抗原を作る遺伝子を投与する「遺伝子ワクチン」、患者さんの血液から取り出した樹状細胞にがん抗原を覚えさせて体内に戻す樹状細胞ワクチンが存在します。

 

がんの発症を予防するワクチンの開発が進んでいる

ペプチドワクチンや遺伝子ワクチン、樹状細胞ワクチンなどのがんワクチンは、がん抗原に対する免疫を獲得させることで、がん細胞の増殖を抑えます。

 

しかし、異常を持った細胞をがん化する前に攻撃することで、がんの発症を予防するワクチンの開発も進められています。がん発症の原因としてストレスや化学物質などの環境要因が重要視されていますが、がん発症の原因としてDNAの複製エラーが大半だとされる研究も存在します。DNAの複製エラーが原因だとすれば、血液中に存在するDNAを解説することで、DNA変異に対応したワクチンを作成することも可能です。DNA変異に対応したワクチンを開発することで、がんを発症していない場合や患者さんのがん細胞の情報がなかったとしてもがんを事前に予防できます。

 

そのため、がん予防ワクチンの研究が進めば、がん患者さんを減らせるかもしれません。

 

 

参考文献

がん予防ワクチンの開発,国立がん研究センター先端医療開発センター

https://www.ncc.go.jp/jp/epoc/division/immunotherapy/kashiwa/030/030/20170728190425.html

ワクチン療法(ペプチド・DC・遺伝子導入),日本がん免疫学会

https://jaci.jp/patient/immune-cell/immune-cell-07/

ワクチンとは,東京大学医科学研究所

https://vaccine-science.ims.u-tokyo.ac.jp/vaccine/

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