がん免疫療法コラム

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癌と新型コロナウイルス感染症2

  1. はじめに

前回に引き続き、がんと新型コロナウイルス感染症について解説していきます。今回はがん治療の現状について述べていきます。

 

  1. がん患者のリスク

前回に述べたように、がん患者さんの中でも新型コロナウイルス感染症へ感染するリスクは大きく異なり、すべてのがん患者さんに一律に重症化の危険性があるわけではありません。ただし、様々な抗がん治療(化学療法、免疫療法、放射線療法)による免疫力低下の可能性と重症化のリスクについては治療開始時には特に考慮する必要があります。がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)では、合同連携委員会のもとに新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループを立ち上げ、「患者さん向け」および「医療従事者向け」に情報が発信されていますので、詳細についてはそちらをご参照ください。

 

  1. がん検診について

実際に、緊急事態宣言が発令された2020年4から5月にかけて日本国内の病院での平均外来患者数や平均在院患者数が減少したことが厚生労働省から報告されています。同時期には世界の多くの国でがん検診や診療制限が行われ、例年に比べて進行したがんが見つかる割合が増加したことが報告されています。このようにがんの診断が遅れるとがん治療開始の遅れにつながり、引いてはがん治療の成績悪化につながるという可能性が示唆されています。このため、新型コロナウイルス感染症の流行期であっても検診はしっかりと受けた方が良いと言えるでしょう。

 

  1. がん診療の現状

COVID-19流行下においては、保護具などの安全対策のみならず、医療資源の欠乏なども起こりました。そのことからも状況に応じた軌道修正が求められると言えるでしょう。全身状態が安定しているがん患者においては、受診回数を減らすための工夫(レジメンスケジュールの微調整:毎週投与を2週もしくは3週毎の投与など)も考慮されます。ただし、がんの種類によっては早期治療が望ましいため、治療の延期に関しては主治医と相談して治療方針を決めることが肝要になります。

新型コロナウイルスワクチンは、特に重症化を予防する点において高い効果が示されています。がん患者さんに特有の問題となる副反応の報告もありませんので、接種を受けておいたほうが良いでしょう。

 

  1. まとめ

実際の診療では、主治医が各治療薬の有益性と不利益に加え、流行時には来院による感染リスクも考慮し、病状の落ち着いている患者には治療の中断や受診間隔の延期も検討するべきです。ただし、がんの治療や検査、診察は自己判断で中止したりせず、必ず担当医や看護師に相談してください。過度に恐れる必要はありません。予防対策をすることで感染リスクを低くすることは可能です。

 

出典:

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A(医療従事者向け)-改訂 第3版- がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)合同連携委員会 新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループ(WG)作成

 

 

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