がん免疫療法コラム
肝臓がんの原因になるC型肝炎ウイルス
C型肝炎は長い時間をかけてがんへと進行する
C型肝炎は、血液からC型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで起こります。C型肝炎に感染しても目立った症状はあらわれず、風邪のような初期症状がみられるくらいです。しかし、ウイルスによるダメージは肝臓に蓄積し、20〜30年の歳月をかけて肝硬変、肝臓がんへと症状を進行させます。C型肝炎ウイルスに感染してから肝臓に炎症が起きても、自覚症状がほとんどないので気づいたら肝臓がんになっていたというケースも存在する病気です。
感染源は血液
C型肝炎は血液が感染源であり、かつては輸血や血液製剤が感染源でした。現在では、輸血に使われる血液は、ウイルスチェックがおこなわれているので感染の心配はありませんが、刺青や違法薬物の注射器の使い回し、性行為などによって感染する可能性があるので注意が必要です。
C型肝炎は、現在でもワクチンが開発されていないため、C型肝炎を根本的に予防するには感染源である血液に触れないという方法しか存在しません。ピアスの穴をあける場合は、器具を共用しない、違法薬物に手を出さない、性行為をする場合はコンドームを使用するなど血液が直接触れないように対策をおこなった方が良いでしょう。
治療が非常に難しい病気だった
C型肝炎は、かつては非常に治療が難しい病気でした。1992年以降は、インターフェロンという注射薬がC型肝炎の治療薬の中でも有力なものでしたが、治療効果は高くなく、副作用も多いため患者さんには負担が大きいものでした。その後、治療効果を高めるためインターフェロンに加えて、C型肝炎に対する抗ウイルス薬、リバビリンの3剤併用療法がおこなわれ、治療効果が高くなりました。
現在では特効薬が開発された
2014年から飲み薬だけでC型肝炎を完治させる特効薬が開発されたため、治療による患者さんの負担は非常に少なくなりました。現在のC型肝炎治療は、95%の人が体内からウイルスを排除できるようになっています。
C型肝炎の特効薬が開発されてからは、インターフェロンを使わない、飲み薬だけの治療がC型肝炎治療の主流となっています。
まとめ
C型肝炎は、感染しても症状がほとんどあらわれないため、気づかぬうちに肝臓がんへと進行してしまう可能性があります。そのため、C型肝炎は、早めに発見して治療を受けることが重要です。C型肝炎ウイルスは、血液検査で感染の有無がわかります。健康診断で実施していることもあるので検査をしてみるのも良いでしょう。
参考文献
C型肝炎について(ファクトシート),厚生労働省検疫所
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/12081116.html
C型肝炎,国立研究開発法人 国立国際医療研究センター肝炎情報センター