がん免疫療法コラム

シンボルマーク
パターン
パターン

Vol.170 免疫チェックポイント阻害薬特有の副作用:irAEについて2

  1. はじめに

前回に引き続き、免疫チェックポイント阻害薬の副作用について解説していきます。免疫療法の中でも治療効果の高い免疫チェックポイント阻害薬では、免疫応答の活性化により、正常な細胞にも攻撃する可能性があります。そのため、特有の副作用である免疫関連有害事象(irAE:immune-related adverse event)が起きやすいという特徴があります。

 

  1. irAEの症状

皮膚、消化器系、内分泌系、神経系などの全身のあらゆる臓器に炎症性の免疫反応が発現することが報告されています(非臓器特異性)。具体的には間質性肺疾患、大腸炎、消化管穿孔、甲状腺機能低下症、肝障害、発心、下垂体炎、心筋炎、糖尿病(特に劇症型1型糖尿病)、腎機能障害、末梢神経障害、重症筋無力症などのいくつかの事象は重大な副作用もあります。これらは投与前からの予測は難しく、早期発見・早期治療が重要とされています。

 

  1. irAEの発症時期

irAEの多くは治療開始後約2カ月以内の比較的早い時期に起こりやすい傾向があります。しかし、投与後すぐに起こるとも限らず、投与終了後,数週間から数カ月経過してから発症することもあるとされるため、投与終了後しばらくはirAEの発現に注意が必要となります。

 

  1. irAEを発症したときの対応

出現した副作用によって対応は異なりますが、米国臨床腫瘍学会(ASCO)のガイドラインに記載されている管理のポイントの概要が示されていますが、重要な点は以下の通りです。

(1)免疫チェックポイント阻害剤の治療開始前に患者や家族に対して、起こりうるirAEとその自覚症状を十分に説明する。また、治療中に新たな症状を認めた場合はirAEを疑う。

(2)一部の神経毒性・血液毒性・心毒性・呼吸器毒性を除いてGrade 1(軽症)のirAEについては慎重にモニタリングのうえ、治療を継続することができる。

(3)より重症(Grade 2,3,4)のirAEについては治療を休止し、症状がGrade 1に改善した場合は投与の再開を考慮する。また、副腎皮質ステロイドによる治療を検討する。

 

  1. 最後に

免疫チェックポイント阻害薬の副作用である免疫関連有害事象(irAE)について2回にわたって解説しました。

免疫チェックポイント阻害薬の種類によって発症する免疫関連副作用(irAE)の種類や頻度は異なりますが、irAEへの対応の基本は共通しています。irAEの重症化を防ぐためには、できるだけ早期に発見し、治療を開始することが重要となります。

 

出典:

irAEアトラス(https://www.iraeatlas.jp/)

Brahmer JR et al; J Clin Oncol. 36(17):1714-1768. 2018.

この情報をシェアする
シンボルマーク

よく読まれている記事

株式会社 同仁がん免疫研究所
〒862-0967 熊本県熊本市南区流通団地1-44-2  TEL : 0120-350-552
© Dojin Institute of Cancer Immunology, Co., Ltd. All Right Reserved.