がん免疫療法コラム

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Vol.160 肝細胞癌と免疫療法

肝細胞癌と免疫療法

肝臓癌には原発性肝癌と大腸癌などの他癌腫の転移による転移性肝癌に分けることができます。中でも原発性肝癌は慢性肝疾患を背景にして生じる肝細胞癌と胆管細胞を由来とする肝内胆管癌に分けられます。今回は肝細胞癌について述べたいと思います。

悪性腫瘍の中でも、肝細胞癌はこれまでは有効な抗癌剤が少ないとされてきました。基本的に切除可能であれば手術が第一選択となり、それ以外の治療法としてはTACE(塞栓療法)やRFA(焼灼療法)などがあります。

 

肝臓癌の薬物療法

しかし、近年ソラフェニブといった分子標的薬の登場により流れが変わってきました。有効な薬剤の登場によって治療選択の幅が広がっています。中でも最近、免疫チェックポイント阻害薬が追加で承認されることになったのは画期的な変化でした。肝細胞癌においても他癌腫と同様に免疫チェックポイント阻害剤とほかの治療法との組み合わせ治療の試みが活発化しています。

IMbrave150試験という第Ⅲ相臨床試験では、全身治療未治療の切除不能肝癌へのソラフェニブとベバシズマブ+アテゾリズマブ併用治療が比較されました。なお、アテゾリズマブは抗PD-L1抗体薬,ベバシズマブは抗VEGF阻害剤になります。その結果はアテゾリズマブによる免疫賦活作用によりベバシズマブの効果を増強することによって、両薬剤の併用治療は高い治療効果を示しました。さらに病勢進行(PD)後も臨床的有用性が維持された患者に対してはアテゾリズマブを継続投与することで、有用性が得られる可能性があることが明らかになっています。

 

薬物療法の問題点

現在、肝細胞癌については、世界では5種類の分子標的薬(レンバチニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブ)と4種類の免疫療法剤(アテゾリズマブ+ベバシズマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ニボルマブ+イピリムマブ)、合計9種類が承認を得ています。日本ではそのうち6種類が承認を得ています。ただし、これらは肝機能良好の患者にしか使用することができず、肝機能不良の進行肝細胞癌に対する全身化学療法は大きな臨床的問題点となっています。

そこで、CheckMate040という第Ⅰ/Ⅱ臨床研究では肝機能不良の進行肝細胞癌患者に免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ(オプジーボ)を投与し、有効性・安全性について検討されました。その結果、肝機能不良の進行肝細胞癌患者においてもニボルマブは有効性が高く、安全性に問題がないことが証明されました。今後、ニボルマブが肝機能不良の進行肝細胞癌に対する新たな治療法となることが期待されます。

 

まとめ

このように免疫療法は薬物療法があまり有効でなかった肝細胞癌に対しても治療効果があることがわかってきています。今後は肝機能不良症例など、さらに適応を拡大する期待が高まっています。

 

出典:

N Engl J Med 2020; 382:1894-1905.

J Hepatol. 2021 Sep;75(3):600-609.

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