がん免疫療法コラム

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Vol.155 新たな免疫チェックポイント分子LAG3について

免疫チェックポイント分子PD-1とCTLA-4

我が国の本庶佑博士とアメリカのJames P. Allison博士が免疫チェックポイント分子PD-1およびCTLA-4を介した免疫抑制の阻害による癌治療法の発見により2018年にノーベル賞を受賞されました。免疫チェックポイント阻害剤は優れた抗腫瘍効果から実臨床においても癌治療のゲームチェンジャーとなっています。なお、2022年1月現在では日本において保険診療で受けることができる薬剤はPD-1阻害薬、CTLA-4 阻害薬、PD-L1 阻害薬のみとなっています。

新たな免疫チェックポイント分子LAG-3

LAG-3(Lymphocyte Activation Gene-3:リンパ球活性化遺伝子3)はPD-1とCTLA-4に次ぐ第3の免疫チェックポイント分子として注目されており、新たな治療ターゲットとして研究が進んでいます。LAG-3はT細胞(中でも細胞傷害性T細胞および制御性T細胞)に発現する細胞表面分子であり、T細胞の応答・活性化・増殖を制御する機能を有していることがこれまでの研究で分かっています。PD-1と同様に癌細胞の抗原に繰り返し曝露されることによってLAG-3の発現量と活性は増大し、T細胞の疲弊が進行することが報告されています。

抗LAG-3抗体レラトリマブ

このメカニズムに着目して、抗LAG-3抗体レラトリマブ(Relatlimab)が開発されました。この薬剤はT細胞上のLAG-3と結合し、疲弊したT細胞のエフェクター機能を回復させるという作用機序で抗腫瘍効果を有します。実際にヒトの臨床試験にまで応用されています。RELATIVITY-047試験という第Ⅲ相臨床試験では、未治療の転移のあるまたは切除不能の悪性黒色腫におけるレラトリマブ(抗LAG-3抗体)とニボルマブ(PD-1阻害薬)の併用療法の有効性と安全性が評価されました。この併用療法はニボルマブ単剤療法と比較して有意に無増悪生存期間を改善しました。つまり、LAG-3はPD-1とCTLA-4に続く、臨床的有益性をもたらす第3の免疫チェックポイント経路であることが示されました。今後の研究課題としては、既存のイピリムマブ(CTLA-4阻害薬)とニボルマブの併用療法の治療効果との比較や他癌腫に対する効果などが挙げられます。

まとめ

いくつかの癌腫において免疫療法は標準治療となっていますが、抗PD-1/抗PD-L1療法に難治性または治療後に再発する患者数も増えており、予後が非常に悪い状況です。このように他の免疫チェックポイント経路と組み合わせてLAG-3を阻害することで、薬剤耐性克服・抗腫瘍活性を高めることが期待されています。

 

T Maruhashi, et al. Nat Immunol. 2018 Dec;19(12):1415-1426.

Tawbi HA, et al. N Engl J Med. 2022;386:24-34.

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