がん免疫療法コラム

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がん免疫療法_多発性骨髄腫CAR-T#1

2019年より日本でもキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法が国内でも使用できるようになり、急性リンパ性白血病やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対して用いられています。そして2022年に入ってからは、多発性骨髄腫に対するCAR-T製剤も製造販売承認を取得し、今後さらに本格的なCAR-T時代に突入していくことが予想されます。

すでにCAR-T療法については本コラムでも述べていますが、今回は新たに承認された多発性骨髄腫に対するCAR-T療法を中心に述べたいと思います。

 

多発性骨髄腫とは

多発性骨髄腫とは、血液細胞の一種である形質細胞が腫瘍化したもので、主に血液内科で診療する病気です。貧血、骨折、腎機能障害や高カルシウム血症など多彩な症状を呈します。また一見血液とは関係ない症状で発症するため、診断まで時間を要することも多い疾患です。

2006年以降、多発性骨髄腫に対する新規薬剤が続々登場し、治療成績は格段に改善しました。しかし、いまだ現代医療では完全に治すことは難しい病気です。特にプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬、モノクローナル抗体すべてに不応となった患者さんの治療成績は不良であることが報告されています。

このように難治性多発性骨髄腫の患者さんに対する治療の開発は急務であり、今回紹介するCAR-T療法はこれらの患者さんに対して有効性がとても期待されています。

 

BCMA を標的とするCAR-T療法

CAR-T療法を開発するにあたって最も重要なことは、標的となるがん細胞だけを攻撃し、正常な細胞を攻撃しないような標的を設定することです。急性リンパ性白血病やびまん性大細胞型B細胞リンパ腫ではCD19がそのターゲットとなりましたが、今回承認された多発性骨髄腫に対するCAR-T製剤イデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel)では、B細胞成熟抗原(B-cell maturation antigen: BCMA)を標的としています。

BCMAは多発性骨髄腫細胞のみならず、正常の形質細胞や成熟したB細胞にも発現していますが、造血幹細胞や非血液細胞での発現は非常に低く、正常細胞への影響は大きくないと考えられています。

 

次回は、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法の成績について述べていきます。

 

[参考資料]

Sanchez E et al., Serum B-cell maturation antigen is elevated in multiple myeloma and correlates with disease status and survival. Br J Haematol. 2012 Sep;158(6):727-38.

Novak AJ et al., Expression of BCMA, TACI, and BAFF-R in multiple myeloma: a mechanism for growth and survival. Blood. 2004 Jan 15;103(2):689-94.

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