がん免疫療法コラム

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がん免疫と腸内細菌

 現在、手術、化学療法、放射線療法に続いて「第4のがん治療」として注目されている「がん免疫療法」ですが、近年の研究で、その効果に腸内細菌が関係していることが明らかにされています。

 

腸内細菌はヒトと共存している

ヒトの腸内には、1,000種類、100兆個の細菌が生息しているといわれており、腸内細菌は、我々ヒトの細胞とともに1つの生態系をつくって共存していると考えられています。腸内細菌は、ヒトの健康にも大きく関与しており、何らかの理由で腸内細菌バランスが崩れると、がんなど様々な病気の発症に関与することが示唆されています。

そして、最近の研究では、現在広くがんに用いられている「免疫チェックポイント阻害薬」の治療効果に腸内細菌が大きく関与していることがわかってきました。

 

腸内細菌によって薬剤の効果が異なる

腸内細菌と免疫チェックポイント阻害薬の関係についての最初の報告は2015年でした。同じ週齢・同じ種類のマウスでも、供給業者が異なると、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)の効果が異なることを発見したのです。このマウスの糞便を比較すると、効果の悪いマウスではBifidobacterium属の細菌が少なく、この細菌を効果の悪いマウスに食べさせると、免疫チェックポイント阻害薬の効果も改善されました。

同じ時期、別の研究グループは、免疫チェックポイント阻害薬(抗CTLA-4抗体)の効果が、無菌マウスや抗菌薬を投与したマウスでは、腸内細菌をもつマウスと比べて弱くなることを見出しました。

これらのマウス実験は、腸内細菌が免疫チェックポイント阻害薬の効果発揮に必要であること示しています。

 

ヒトではどうだろうか

マウスの研究の後、ヒトでも同様に腸内細菌によって免疫チェックポイント阻害薬の効果が異なることが複数報告されています。例えば、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)がよく効く患者さんの便とあまり効果がない患者さんの便を、それぞれ無菌マウスに移植すると、よく効く患者さんの便を移植したマウスのほうが同じように免疫チェックポイント阻害薬の効果が優れていることがわかっています。

この結果は、ヒト腸内細菌が治療効果に関与していることを示唆しています。

しかしながら、ヒトでの研究はまだ道半ばです。どのような菌がよいのかは研究結果によって違いがあり、共通点が見出せていません。

日本でもがん患者さんにおける腸内細菌のデータベースプロジェクトが進行しており、今後の進展がより一層注目されます。

 

[参考資料]

Sivan A et al. Commensal Bifidobacterium promotes antitumor immunity and facilitates anti-PD-Ll efficacy. Science. 2015;350:1084-9.

Vetizou M et al. Anticancer immunotherapy by CTLA-4 blockade relies on the gut microbiota. Science. 2015;350:1079-84.

Matson V et al.The commensal microbiome is associated with anti-PD-1 efficacy in metastatic melanoma patients. Science. 2018;359:104-8.

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