がん免疫療法コラム
手術後にも免疫チェックポイント阻害剤?
2014年に初めて免疫チェックポイント阻害剤が承認されて以降、免疫チェックポイント阻害剤に関する研究は世界中で注力されています。そして、現在までの主流であった「化学療法で効果が不十分で手術でも根治切除不能ながん」だけでなく、手術後により確かな治療効果を得るために行う「術後補助療法」への適応拡大を目指す流れができています。
現在日本では悪性黒色腫に対する術後補助療法のみ承認
既に術後補助療法の適応を取得しているのはオプジーボ(ニボルマブ)やキイトルーダ(ペムブロリズマブ)といった免疫チェックポイント阻害剤のみで、悪性黒色腫に限られていました。
一方、2021年に入ってからテセントリク(アテゾリズマブ)が非小細胞肺がんの術後補助療法への適応拡大を目指して承認申請を行いました。このほかにも、同じく非小細胞肺がんの術後補助療法としてイミフィンジ(デュルバルマブ)とオプジーボ(ニボルマブ)が第3相の臨床試験を実施中です。
国際的にも術後補助療法への適応拡大を目指して開発中
世界的に見ると、免疫チェックポイント阻害剤はさらに多くの腫瘍に対して術後補助療法としての開発が進められています。
- 既に承認済み
- キイトルーダ:悪性黒色腫
- オプジーボ:悪性黒色腫、食道がん
- 申請中
- キイトルーダ:トリプルネガティブ乳がん
- オプジーボ:筋層浸潤膀胱がん
- テセントリク:非小細胞肺がん
- 第3相臨床試験を実施中
- キイトルーダ:腎細胞がん、肝細胞がん、胃がん・食道がんなど
- オプジーボ:肝細胞がん、胃がん、非小細胞肺がん
- テセントリク:腎細胞がん、頭頸部扁平上皮がん、肝細胞がん、トリプルネガティブ乳がん
- イミフィンジ:肝細胞がん、子宮頸がん、非小細胞肺がん、胃がん
- オプジーボ+ヤーボイ(イピリムマブ):腎細胞がん
日本では、悪性黒色腫を除いて非小細胞肺がんに対する術後補助療法が申請されたところですが、世界的には他の腫瘍に対しても開発が進められています。現在臨床試験を実施中の薬剤を含めて適応拡大の申請が承認されていけば、日本でも様々な腫瘍に対して術後補助療法に適応のある免疫チェックポイント阻害剤が増えていくことが期待できます。
[参考資料]
Media releases & Ad hoc announcements|Roche