がん免疫療法コラム

シンボルマーク
パターン
パターン

早期がんにおいて開発が急速に進むがん免疫療法の展開

2021年に入ってがん免疫療法が新しいステージに入っています。
肺がん、泌尿器がん、乳がん、消化器がん等で早期がんにおける免疫チェックポイント阻害剤の好成績が次々と発表されています。

現在のがん治療の一つの柱となっている免疫チェックポイント阻害剤による治療は、これまで早期がんではなく、進行・再発がんを中心に治療されてきました。

早期がんにおいてもがん免疫療法が導入される時期が目前に迫っています。

具体的にどのような成績が報告されているか概要を解説します。

 

早期の肺がんにおけるがん免疫療法の展開

早期の非小細胞がん(NSCLC)に対して、2つ大きな臨床試験の結果が発表されました。

一つは抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブのIMPower010試験、もう一つは抗PD-1抗体であるニボルマブのCheckMate-816試験です。

多施設共同PhaseⅢ試験であるIMPower010試験の結果は次の通りです。

PD-L1発現1%以上のII期からIIIA期のNSCLCに対して手術および化学療法を実施した後のアテゾリズマブは、支持療法に比べて再発または死亡のリスクを34%低下させました。

本試験の結果をもって、2021年7月に日本において製造販売承認申請がされています。

 

二つ目は多施設共同PhaseⅢ試験であるCheckMate-816試験の結果です。

切除可能なNSCLCに対して術前のニボルマブと化学療法の併用療法は、化学療法のみの場合に比べて、有意に高い病理学的完全奏効(pCR)率が得られました。併用療法群のpCR率は24.0%、化学療法のみ群は2.2%でオッズ比は13.94でした。

 

早期の泌尿器がんにおけるがん免疫療法の展開

早期の泌尿器がんに対しても、2つ大きな臨床試験の結果が発表されました。

一つは抗PD-1抗体であるペムブロリズマブのKEYNOTE-564試験、もう一つはニボルマブのCheckMate-274試験です。

多施設共同PhaseⅢ試験であるKEYNOTE-564試験の結果は次の通りです。

腎摘除術または腎摘出と転移部位切除術後の腎細胞がんに対して術後補助療法としてのペムブロリズマブは、プラセボと比べて再発または死亡のリスクを32%低下させました。

 

二つ目は多施設共同PhaseⅢ試験であるCheckMate-274試験の結果です。

高リスク筋層浸潤性尿路上皮がんに対して術後補助療法としてのニボルマブは、プラセボと比べて再発または死亡のリスクを30%低下させました。
本試験の結果をもって、2021年3月に日本において製造販売承認申請がされています。

 

2022年から早期がんにおいてもがん免疫療法が導入されます

2021年に発表された非小細胞肺がん、尿路上皮がん、腎細胞がんの重要な臨床試験の結果を解説しました。

いずれもポジティブな結果であり、既に国内で製造販売承認申請された薬剤もあります。

2022年は早期がんの患者さんにおいてもがん免疫療法の治療が展開される年になりそうです。

また、早期の乳がんや消化器がんにおいても重要な臨床試験結果が出ています。

 

[参考資料]

IMpower010: Primary results of a phase III global study of atezolizumab versus best supportive care after adjuvant chemotherapy in resected stage IB-IIIA non-small cell lung cancer (NSCLC).

https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.8500

 

テセントリク、非小細胞肺がんの術後補助療法に対し製造販売承認申請

https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210707170000_1125.html

 

オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法が、第Ⅲ相CheckMate -816試験において切除可能な非小細胞肺がん患者に対して病理学的完全奏効を有意に改善

https://www.ono.co.jp/news/20210412.html

 

Pembrolizumab versus placebo as post-nephrectomy adjuvant therapy for patients with renal cell carcinoma: Randomized, double-blind, phase III KEYNOTE-564 study.

https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.LBA5

オプジーボによる術後補助療法が、第Ⅲ相CheckMate -274試験におる筋層浸潤性尿路上皮がん患者に対して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無病生存期間の改善を示す

https://www.ono.co.jp/news/20210209_2.html

オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注 尿路上皮がんにおける術後補助療法に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請

https://www.ono.co.jp/news/20210331.html

 

 

 

資料請求・お問い合わせ

専任のスタッフが丁寧に対応いたします。ご不明な点などございましたら、まずはお気軽にご相談ください。

この情報をシェアする
シンボルマーク

よく読まれている記事

TOP