がん免疫療法コラム

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Vol.124 小児悪性腫瘍に対するがん免疫療法について②

・概要
前回の記事では、小児悪性腫瘍に関する現況について解説しました。本稿では、小児を対象とした樹状細胞ワクチンと、ペプチドワクチンについて、これまでに実施された臨床試験の結果を基に、説明していきます。

・小児を対象とした樹状細胞ワクチン療法
これまでに実施されてきた樹状細胞ワクチンを投与する第I/II相試験のデータに基づくと、再発性の脳腫瘍、固形がん、神経芽腫、骨肉腫等、多様な小児悪性腫瘍に対して、毒性が最小限であり忍容性が良好であったという結果が得られています。これらのほとんどの試験では、自家樹状細胞が用いられており、一過性ではあるものの、臨床転帰の改善が報告されています。具体的には、10%前後の被験者にCRやPRが認められています。しかしながら、すべての被験者において、最終的にはPD、進行が認められています。また、特定のがん種においては、承認済みの標準化学療法に比して生存率が向上したり、奏効率が向上していたことも明らかとなり、樹状細胞ワクチンは小児悪性腫瘍に対しても、有効性を示す結果が得られています。
これらの結果から、小児悪性腫瘍に対する樹状細胞ワクチン療法は、小児に対して懸念の大きい毒性が従来の治療法よりも低減されており忍容性に優れており、さらに一定の有効性を示すことが明らかとなりました。しかしながら、臨床試験の数や患者集団が何れも少ないことから、さらなる臨床開発の推進が必要と考えられています。

・小児を対象としたペプチドワクチン療法
まず、初期段階では固形がんおよび造血器腫瘍の小児を対象に、WTー1標的ペプチドベースのワクチンが検討されました。その結果、わずかな例で奏効が認められたものの、ほとんどに有効な臨床反応を示すことができませんでした。これらの試験では、ペプチド抗原のみが使用されていたことから、T細胞を十分に賦活化できなかったことから、有効性を証明できなかったと考えられています。続いて、ハイリスクな神経芽細胞腫を対象とした試験が実施され、この試験では免疫アジュバントを含有したワクチンが投与され、さらに抗腫瘍反応を増強すると考えられているpーグルカンも投与されました。その結果、用量制限毒性が認められず、抗原に対する抗体反応も十分に認められたことから、安全性と投与による良好な免疫応答が示唆されています。次に、小児の中枢神経系の悪性腫瘍を対象とした試験が実施され、この試験でも免疫アジュバントと共に、ペプチドワクチンが投与されました。その結果、26例中5例では腫瘍の安定化または退縮を示し、さらに抗がん剤であるデキサメタゾンの上乗せによって生存期間中央値が9ヶ月程度延長したことが示されました。その他、現在では免疫チェックポイント阻害剤との併用試験も実施されています。
小児悪性腫瘍に対するペプチドワクチン療法に関しては、成人固形がんを対象とした第Ⅲ相試験でも臨床的有用性が十分に示されていないにも関わらず、一定の効果と安全性が認められています。これまでの臨床試験結果から、T細胞免疫応答と有効性を最大限に発揮するために、アジュバントとの併用や、免疫チェックポイント阻害剤等の現存する治療薬との併用療法の検討が望まれています。

本項では、小児を対象とした臨床試験データに基づいた、樹状細胞ワクチンおよびペプチドワクチン療法について説明しました。次回は核酸ワクチンと、ウイルスベクターワクチンについて述べていきます。

・参考文献
1. Neuro Oncology Advances. 3(1), 1-14, 2021
2. NCHS Data Brief. 2018(328);11-8
3. J Clin oncol. 2009;27(14);2339-2355
4. 国立がん研究センター 小児がん情報サービス 小児がんとは
https://Ganjoji.up/child/dia_tre/about_childhood/index.html

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