がん免疫療法コラム

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がん免疫療法が効く人を予測する方法

免疫チェックポイント阻害薬での奏効率は2~3割

PD-1阻害薬やPD-L1阻害薬など、免疫チェックポイント阻害薬をご存知の方は多いと思います。これら免疫チェックポイント阻害薬は2014年に日本で承認されたオプジーボを筆頭にして従来のがん治療法と比較して有効性と安全性の両面で優れていると考えられています。

一方で、免疫チェックポイント阻害薬は全ての承認されている疾患でも患者さんによっては不十分な効果しか得られないケースがあり、十分な治療効果が得られる患者さんは2~3割程度だと言われています。

これは患者さんにとって大きな負担になります。加えて、高価な免疫チェックポイント阻害薬を使用して効果不十分であることは医療費の面でも負担がかかります。

今回は、より効率的な治療を行うために研究が進められている免疫チェックポイント阻害薬が効くか事前に評価する方法を紹介します。

治療効果の予測に重要なポイントはT細胞

非臨床の研究では、PD-1は免疫担当細胞である腫瘍浸潤エフェクターT細胞や制御性T細胞上に存在することが分かっていました。さらに、技術の発展によって臨床でも腫瘍組織内に存在するリンパ球を測定できるようになりました。

この技術を用いて、PD-1/PD-L1阻害薬による治療を実施した患者さんの腫瘍組織内リンパ球を解析したところ、治療が有効だった例では腫瘍浸潤エフェクターT細胞上のPD-1発現量が多いことを発見しました。

加えて、腫瘍浸潤制御性T細胞についても解析を実施したところ、治療奏功例では細胞上のPD-1発現量が少ないという結果でした。

つまり、

  • 腫瘍浸潤エフェクターT細胞上のPD-1発現量が多い
  • 腫瘍浸潤制御性T細胞上のPD-1発現量が少ない

という特徴を持つ場合に期待通りにPD-1/PD-L1阻害薬の効果が得られる可能性があることが新たに分かりました。

 

免疫チェックポイント阻害薬には有効なバイオマーカーが存在していなかったため、効率良く治療を実施できていませんでした。今後は腫瘍浸潤リンパ球を解析することで免疫チェックポイント阻害薬の適正な使用が可能になるかもしれません。

 

【参考資料】

The PD-1 expression balance between effector and regulatory T cells predicts the clinical efficacy of PD-1 blockade therapies

 

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