がん免疫療法コラム

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Vol.113 治療効果と利便性の向上につながる改良型核酸医薬(2): 抗体結合型核酸

核酸医薬品は既に治療薬として承認されている

医薬品として認識されているもののほとんどが、人工的に合成された「低分子医薬品」とよばれるもので、このタイプ医薬品を長い間治療に使われてきました。近年では、私たちの体の中で作られるような抗体や核酸を医薬品として応用できるようになり、これらを「生物学的製剤」と呼ぶことがあります。生物学的製剤の中にもいくつか種類があり、DNA や RNA を代表とする核酸も「核酸医薬品」として既に治療に用いられています。がん免疫の領域では、がんワクチンとして核酸の研究開発が進められています。

どのタイプの医薬品にも利点と欠点がありますが、核酸医薬品の場合は以下のような特徴があります。

  • 利点: 全く新しい分子を標的にできる、標的に対する特異性が高い
  • 欠点: 分解されやすい、細胞内の標的まで届きにくい

核酸医薬品が標的とする分子は基本的に細胞の中に存在していますが、核酸医薬品単独では細胞の中へ効率的に取り込まれることができません。核酸医薬品の欠点を克服するために様々な核酸改良技術が開発されており、抗体結合型核酸もそのひとつです。

抗体結合型核酸とは?

その名の通り、核酸と抗体が結合してできたものを「抗体結合型核酸」と呼び、以前に紹介した薬物(低分子医薬品)と抗体が結合した抗体薬物複合体と主な目的は同じです。

まず、抗体には標的となる抗原に対して特異的に結合する性質があります。そして、抗体結合型核酸は抗体の性質を利用することで、核酸の標的が存在する細胞へ特異的に核酸を送達することができます。

核酸単体と比較して、抗体と結合した核酸は欠点であった分解を回避し、核酸の標的が存在する細胞への取り込みが向上しています。さらに、動物実験では抗体結合型核酸の有効性が既に確認されています。

 

抗体結合型核酸が実際に医薬品として承認されている例はまだありませんが、新しいがん治療薬としての有用性が認められており、抗体結合型核酸が有効性の高い治療法として使用される日が来るかもしれません。

 

[参考資料]

Julien Dugal-Tessier  et al., Antibody-Oligonucleotide Conjugates: A Twist to Antibody-Drug Conjugates. J. Clin. Med., 10(4):838 (2021).

Asako Yamayoshi et al., Development of Antibody-Oligonucleotide Complexes for Targeting Exosomal MicroRNA. Pharmaceutics, 12(6):545 (2020). 

Igor Dovgan et al., Antibody-Oligonucleotide Conjugates as Therapeutic, Imaging, and Detection Agents. Bioconjug. Chem., 30(10):2483-2501 (2019).

 

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